「本能寺の変」三部作のラストですが、私の読み方が甘いせいかそれほど集大成という感じはしませんでした。ただ、話のまとまりはこれまでで一番良かったように思います。上巻のレビューはこちら。
タイトルに「恋」と入っていますが、「綸(りん)」との仲が特にクローズアップされているということはありません。光秀を含む「明智」一族、あるいは「朝廷」への思いも含めた「恋」なのかなと深読みしてみたり。
本能寺の変についての描写は変に熱くなっていないのがよかったです。公家に踊らされ、綸旨なしの挙兵にいたった光秀の良い人ぶりが淡々と語られています。
明智左馬助といえば「湖水渡り」で有名だそうです。馬で琵琶湖を越えたという伝説がクライマックスで沸騰、となると凄いのですが、ここでもちょっとオチがつくような感じ。こういうクールな書き方は結構好みです。
本シリーズは「織田」、「羽柴」、「明智」それぞれの視点から「本能寺の変」が叙述されているわけですが、実は新の黒幕ともいえる「第四の勢力」が存在します。既刊を読めば正体は大体想像がつくと思いますが、そのネタで4冊目が出たらかなり面白そうな気がします。
結局、シリーズ三部作はまとめて一つの「大長編」というよりは三本の「長編」という印象です。そのあたり若干物足りなく感じないわけではありませんが、3作目が一番気に入った作品だったのは後味が良くて大変結構だったと思います。
評価:★★★☆☆
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2010年11月16日火曜日
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