2010年11月20日土曜日

博物戦艦アンヴェイル2 ケーマの白骨宮殿(小川一水) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

海洋冒険ファンタジーのシリーズ第2弾。前回がわりとしっかり一話完結していたのに比べて、今回は次巻以降へのプロローグ的な意味合いが強そうです。冒険行の部分も全体の三分の一程度と若干薄めですが、陸上でのやり取りが多かったのは俺得な感じでした。



前回は航海部分が迫真の筆致だったのですが、逆に最初からここまでやってしまって、次からどうするんだろうかと多少疑問にも思っていました。その点、今回クールダウン気味なのは、シリーズ全体からすれば納得できるところです。

全三章+序・終章の構成で、メギオス脅威の探索に出向く冒険が直接描かれているのは第三章だけです。王城内でのやり取りが好きな私としては割と満足ですが、一話完結の物語としてみると多少の物足りなさは感じなくもありません。

テスとジャムの主人公達については終始ラブラブっぷりを見せ付けられるのかと思いきや、ちょっぴり波乱の展開も見せつつあります。二人の関係のほか、王妃の背景やレイヒたちアンドゥダーナーの事情など、後への伏線が丹念に張られていっている感じです。

少し残念なのは、探索行にシェンギルンらオノキア王国側が直接絡んでこなかったこと。はっきりいってシェンギルンはこのシリーズで一番(というより唯一の)格好いい男性キャラなので、若輩アルセーノとの小競り合いだけが出番がというのは寂しいところです。

彗晶族(キカニオン)の不穏な様子などはあるものの、物語を通しての骨格はいまだ姿を現しているとはいえません。先行きが見えてくるのは次巻あたりからとなるのでしょうか。期待して待っていることにします。

評価:★★★☆☆

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