血のつながらない7人きょうだいによるハートフルコメディ。家族達はみな温かく、ホノボノとしたエピソードが続くのですが・・・終始漂う得体の知れない緊張感は何なのでしょうか。ちょっと「ひとつ屋根の下」に似た雰囲気の作品です。
両親達を事故でなくし、母方の親戚達に翻弄される高校2年生「園村響(そのむらひびき)」。葬儀後の喧々諤々のなか、響のもとを訪れたのは父方の親戚だという二人。彼らの誘いにより響は「倉須(くらす)」家に引き取られることになります。
迎えに来たのは長男の「高遠(たかとお)」と次女の「リリィ」。二人の姉のうちリリィがヒロイン格となるようです。生徒会長として畏怖と崇拝を一身に浴びる一学年上の彼女。タイトルには暴君とありますが、彼女の本性は徐々に明らかになっていきます。
設定的にわけありにならざるを得ないきょうだいたちですが、一見するとみな良い人、良い子ばかりです。それが曲者。笑顔の奥に隠された重い背景がいつ爆発するのか、終始ひやひやした緊張感が漂います。
本書後編では三女「芽々子(めめこ)」の背景にスポットが当てられます。リリィ、響とは同じ高校の一年生。スキンシップ過剰でちょっと天然の入った「異様な」美少女。天真爛漫な彼女がぬいぐるみに示す拒否反応の理由とは?
個々の家族だけでなく、倉須家自体にもなにやら事情があるみたいで、伏線てんこ盛りといった印象です。ストーリー自体も話のオチも「@HOME」というタイトルに相応しいものですが・・・このストーリーでこの緊張感を出せるのは、筆者への「信頼感」のなせる業かもしれません(^^;
評価:★★★☆☆
2010年11月10日水曜日
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