事件についてはまぁいつも通りですが、このシリーズで一番期待している日常生活の進展があまり見られなかったのが残念です。とはいえ、普通に面白かったですけれど。
今回、兄妹は養護施設で掃除や洗濯物運びなど結構な重労働をすることになります。育ちのいい二人には良い経験かもしれませんが、テンポラリーのバイトシリーズになっちゃうんですかね。そろそろ派手な展開がほしいかもです。
事件については、いろんな場所の都合が収束していくのは相変わらず見事ですが、なんとなく解決がもやもやした印象もあります。正直、ミステリとしてのできはシリーズ中一番酷かったかも。
ただ、読むのをやめようという気にならないのは、やはり登場人物の魅力のおかげでしょうか。華々しい展開がないのが物足りないとはいえ、逆にあわただしさのない安定感こそがコージーミステリの醍醐味ともいえるかもしれません。
評価:★★☆☆☆
関連レビュー:
『風の向くまま』(ジル・チャーチル)
『夜の静寂に』(ジル・チャーチル)
『闇を見つめて』(ジル・チャーチル)
『愛は売るもの』(ジル・チャーチル)
2010年7月31日土曜日
2010年7月28日水曜日
『愛は売るもの』(ジル・チャーチル)
すっかりヴォールブルグの町に馴染んできた二人の館に、怪しげな人物の一行が宿泊を求めてきます。逡巡しつつも結局止めることにしたものの、またもや殺人事件が。恋の兆しも見えそうな見えなさそうな予感のする、グレイス&フェイバーシリーズ第4弾です。
今回の被害者は、怪しげな宗教関係の伝道師です。ちょっと考えればインチキとしか思えない輩ですが、不安な情勢を反映してか結構な数の信者を集めていたため、色々な厄介ごとが降り掛かってきます。宗教関係は本当に厄介ですね。
殺人事件には巻き込まれながらも、リリーとロバートはすっかり生活が落ち着いてきたようです。今回は臨時の教師をすることになりましたが、そこの校長(女性)が新たにグレイス&フェイバーに借家することになりました。貴族ぐらしには戻れないまでも、家賃収入の方は順調に増えてきているようです。
恋話のほうについては、ロバートの方はまぁいいとして、リリーのお相手はウォーカーになるんですかね?彼は2巻からの登場ですが、それならもう少しそれらしい演出で登場させて欲しかった気もします。
なんだか今回は兄妹の印象が随分薄かったですね。探偵役のリリーも最後にちょっと気がついたんだけどー、みたいな感じであまり物々しさがないのが、ちょっぴりモノ足りません。ただ、時代背景の描写は今回も興味深かったです。ルーズヴェルトも無事大統領に当選し、これからシリーズの雰囲気が変わってきたりするのでしょうか。
評価:★★☆☆☆
次巻:『君を想いて』(ジル・チャーチル)
関連レビュー:
『風の向くまま』(ジル・チャーチル)
『夜の静寂に』(ジル・チャーチル)
『闇を見つめて』(ジル・チャーチル)
今回の被害者は、怪しげな宗教関係の伝道師です。ちょっと考えればインチキとしか思えない輩ですが、不安な情勢を反映してか結構な数の信者を集めていたため、色々な厄介ごとが降り掛かってきます。宗教関係は本当に厄介ですね。
殺人事件には巻き込まれながらも、リリーとロバートはすっかり生活が落ち着いてきたようです。今回は臨時の教師をすることになりましたが、そこの校長(女性)が新たにグレイス&フェイバーに借家することになりました。貴族ぐらしには戻れないまでも、家賃収入の方は順調に増えてきているようです。
恋話のほうについては、ロバートの方はまぁいいとして、リリーのお相手はウォーカーになるんですかね?彼は2巻からの登場ですが、それならもう少しそれらしい演出で登場させて欲しかった気もします。
なんだか今回は兄妹の印象が随分薄かったですね。探偵役のリリーも最後にちょっと気がついたんだけどー、みたいな感じであまり物々しさがないのが、ちょっぴりモノ足りません。ただ、時代背景の描写は今回も興味深かったです。ルーズヴェルトも無事大統領に当選し、これからシリーズの雰囲気が変わってきたりするのでしょうか。
評価:★★☆☆☆
次巻:『君を想いて』(ジル・チャーチル)
関連レビュー:
『風の向くまま』(ジル・チャーチル)
『夜の静寂に』(ジル・チャーチル)
『闇を見つめて』(ジル・チャーチル)
2010年7月24日土曜日
『闇を見つめて』(ジル・チャーチル)
ブルースター兄妹がどんどん田舎町に溶け込んでいく様子も楽しいのですが、本書の見所は退役軍人によるボーナス行進を、地元紙記者のジャック・サマーが取材に行くくだりです。史実に基づいた描写にとても迫力がありました。
ボーナス行進の詳細についてはWikipediaの説明参照。フーヴァー政権下、我々にもおなじみのダグラス・マッカーサーにより強硬なデモ鎮圧が行われました。検閲なしに新聞記事を書く権利を手にするために血気にはやるジャック・サマーが大活躍します。
リリーは地元婦人会に参加するなど、一層地元コミュニティに密着していきますが、金持ちでないことを隠し続けるのも徐々に限界に。そんななか、またしても殺人事件に巻き込まれる異なります。本当に良く事件に出くわす人たちです。
古いミイラと婦人会に参加する求職中の主人の死、それにボーナス行進がどのように関わってくるのか。色々な事件を最後は見事に収束させる手腕に感心しましたが、なんといっても今回のメインはボーナス行進でしょう。不況真っ只中の暗い時代を扱っているのに、相変わらずさわやかな読後感を残してくれるのがうれしいですね。
評価:★★★★☆
次巻:『愛は売るもの』(ジル・チャーチル)
関連レビュー:
『風の向くまま』(ジル・チャーチル)
『夜の静寂に』(ジル・チャーチル)
ボーナス行進の詳細についてはWikipediaの説明参照。フーヴァー政権下、我々にもおなじみのダグラス・マッカーサーにより強硬なデモ鎮圧が行われました。検閲なしに新聞記事を書く権利を手にするために血気にはやるジャック・サマーが大活躍します。
リリーは地元婦人会に参加するなど、一層地元コミュニティに密着していきますが、金持ちでないことを隠し続けるのも徐々に限界に。そんななか、またしても殺人事件に巻き込まれる異なります。本当に良く事件に出くわす人たちです。
古いミイラと婦人会に参加する求職中の主人の死、それにボーナス行進がどのように関わってくるのか。色々な事件を最後は見事に収束させる手腕に感心しましたが、なんといっても今回のメインはボーナス行進でしょう。不況真っ只中の暗い時代を扱っているのに、相変わらずさわやかな読後感を残してくれるのがうれしいですね。
評価:★★★★☆
次巻:『愛は売るもの』(ジル・チャーチル)
関連レビュー:
『風の向くまま』(ジル・チャーチル)
『夜の静寂に』(ジル・チャーチル)
2010年7月21日水曜日
『夜の静寂に』(ジル・チャーチル)
10年間住み続けないと遺産がもらえないブルースター兄妹。金策に悩む二人は、かつての人脈を活かして会費制パーティーを企画します。幸い有名作家が招待に応じてくれたものの、集まった人達はみな何やら分け有りなご様子。そうしているうちに、またしても殺人事件が。グレイスー&フィーバーシリーズ第2弾です。
粗筋だけだとなんとも軽薄な印象を受けられるかもしれませんが、時代背景が1930年代金融恐慌の真っ直中ということで、結構悲壮感の漂う雰囲気です。
パーティーなんていかにも苦労知らずな金持ちの発想っぽいですが、実は選択肢の少ない二人。ニューヨークから3時間の田舎とあっては、ちまちま都会で稼いでも電車賃だけで消えてしまいます。地元でも不況でろくな仕事に有りつけるはずもなく、なんとか自分たちで金脈を見つけるしかない状況です。
そうはいっても、屋敷の維持費は遺産から出るし、同居することになった弁護士で管財人のプリニー夫妻により絶品の食事とわずかながらの賃料は提供されるので、すぐにも生きていけなくなる状況ではありません。かつての豪奢な生活から一変の惨めな境遇、しかしそれよりもさらに酷い状況にある人達との対比が、独特な世界観を醸し出しています。
シリーズ名のグレイス&フィーバーは、王室終身貸与の意味だそうです。自身のものではない住まいのことを皮肉ったネーミング。
正直、ミステリとしてはいまいちなのですが、時代背景の描写がなんとも真に迫っていてよいですね。フーヴァー大統領の無能さや共和党ルーズベルト候補への期待などは、ちょっと当時の状況を調べてみたくなります。そんなやっかいな世の中を健気に生きるリリーとロバート、それに周囲を囲む人達も実に魅力的です。どちらかというとミステリ云々より二人の行く末が気になるお話しです。
評価:★★☆☆☆
次巻:『闇を見つめて』(ジル・チャーチル)
関連レビュー:
『風の向くまま』(ジル・チャーチル)
粗筋だけだとなんとも軽薄な印象を受けられるかもしれませんが、時代背景が1930年代金融恐慌の真っ直中ということで、結構悲壮感の漂う雰囲気です。
パーティーなんていかにも苦労知らずな金持ちの発想っぽいですが、実は選択肢の少ない二人。ニューヨークから3時間の田舎とあっては、ちまちま都会で稼いでも電車賃だけで消えてしまいます。地元でも不況でろくな仕事に有りつけるはずもなく、なんとか自分たちで金脈を見つけるしかない状況です。
そうはいっても、屋敷の維持費は遺産から出るし、同居することになった弁護士で管財人のプリニー夫妻により絶品の食事とわずかながらの賃料は提供されるので、すぐにも生きていけなくなる状況ではありません。かつての豪奢な生活から一変の惨めな境遇、しかしそれよりもさらに酷い状況にある人達との対比が、独特な世界観を醸し出しています。
シリーズ名のグレイス&フィーバーは、王室終身貸与の意味だそうです。自身のものではない住まいのことを皮肉ったネーミング。
正直、ミステリとしてはいまいちなのですが、時代背景の描写がなんとも真に迫っていてよいですね。フーヴァー大統領の無能さや共和党ルーズベルト候補への期待などは、ちょっと当時の状況を調べてみたくなります。そんなやっかいな世の中を健気に生きるリリーとロバート、それに周囲を囲む人達も実に魅力的です。どちらかというとミステリ云々より二人の行く末が気になるお話しです。
評価:★★☆☆☆
次巻:『闇を見つめて』(ジル・チャーチル)
関連レビュー:
『風の向くまま』(ジル・チャーチル)
2010年7月9日金曜日
『風の向くまま』(ジル・チャーチル)
大恐慌時代、1931年のニューヨーク。上流階級からすっかり零落したロバートとリリーの兄妹が、大叔父の遺産を相続することになった。ただし、ど田舎の屋敷に10年間住みつづけなければならないという条件つき。グレイス&フェイバー・シリーズの開幕です。
兄妹2人が主人公というシチューエーション、結構私は好きみたいです。父親が株の失敗で自殺。母親も少し前になくしていたため兄妹2人っきりで世間の荒波に揉まれてきましたが、それも2年程度のことなので、根はまだまだお坊っちゃんお嬢ちゃん。ちなみに年齢は26と24歳。美形で性格も育ちも良く、お金以外なら長所をたくさん持っている二人です。
人物紹介ではリリーが先にきているので、彼女が探偵役になるのだと思います。ロバートの立場は・・・結構微妙。そもそも落ちぶれ生活の際にもロバートは定職につかず、有閑マダムのご機嫌をとったりレストランの臨時ボーイ長をしたり、それらの仕事で共通しているのが
もっとも、銀行で小切手を数えるリリーの仕事もほんとに雀の涙の給金だったようだったので、収入の多寡については分かりません。なによりリリー本人が納得しているようです。引越し後の金勘定についても事件の推理についてもロバートはリリーにまかせっ放しなのですが、だからといって便りにならないわけでもなく、リリーが迷っているときに焚きつける様子などは、かなり確信犯的な奥深さを見せます。何とも不思議な兄妹です。
グレイス&フェイバーというのは二人がコテージにつけた新しい名前です。主人公二人がリリーとロバートですから、最初カバーが入れ替わってるのかと思ってしまいました。名前の由来はまだ不明。おいおい明かされていくことになるのでしょう。こういう伏線を丁寧に仕込んでくるのはいいですね。
殺人事件などきな臭い状況に巻き込まれはしますが、ジャンルとしてはコージー・ミステリーに属すると思ってよいんでしょうか。実際、脇キャラもなかなか魅力的で、小さな田舎町にふさわしい暖かな雰囲気を醸し出しています。正直、ミステリとしての出来自体はどうかと思うところもなくもないのですが、クライマックスの盛り上がりも含めてとても好感の持てる佳作です。
評価:★★★☆☆
次巻:『夜の静寂に』(ジル・チャーチル)
兄妹2人が主人公というシチューエーション、結構私は好きみたいです。父親が株の失敗で自殺。母親も少し前になくしていたため兄妹2人っきりで世間の荒波に揉まれてきましたが、それも2年程度のことなので、根はまだまだお坊っちゃんお嬢ちゃん。ちなみに年齢は26と24歳。美形で性格も育ちも良く、お金以外なら長所をたくさん持っている二人です。
人物紹介ではリリーが先にきているので、彼女が探偵役になるのだと思います。ロバートの立場は・・・結構微妙。そもそも落ちぶれ生活の際にもロバートは定職につかず、有閑マダムのご機嫌をとったりレストランの臨時ボーイ長をしたり、それらの仕事で共通しているのが
麗しくハンサムな容姿、流暢な話術、タキシード、この3つが必要な点(P10)というふざけたもの。端から見ると妹のヒモにしかみえません。
もっとも、銀行で小切手を数えるリリーの仕事もほんとに雀の涙の給金だったようだったので、収入の多寡については分かりません。なによりリリー本人が納得しているようです。引越し後の金勘定についても事件の推理についてもロバートはリリーにまかせっ放しなのですが、だからといって便りにならないわけでもなく、リリーが迷っているときに焚きつける様子などは、かなり確信犯的な奥深さを見せます。何とも不思議な兄妹です。
グレイス&フェイバーというのは二人がコテージにつけた新しい名前です。主人公二人がリリーとロバートですから、最初カバーが入れ替わってるのかと思ってしまいました。名前の由来はまだ不明。おいおい明かされていくことになるのでしょう。こういう伏線を丁寧に仕込んでくるのはいいですね。
殺人事件などきな臭い状況に巻き込まれはしますが、ジャンルとしてはコージー・ミステリーに属すると思ってよいんでしょうか。実際、脇キャラもなかなか魅力的で、小さな田舎町にふさわしい暖かな雰囲気を醸し出しています。正直、ミステリとしての出来自体はどうかと思うところもなくもないのですが、クライマックスの盛り上がりも含めてとても好感の持てる佳作です。
評価:★★★☆☆
次巻:『夜の静寂に』(ジル・チャーチル)
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