2010年7月24日土曜日

『闇を見つめて』(ジル・チャーチル) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

ブルースター兄妹がどんどん田舎町に溶け込んでいく様子も楽しいのですが、本書の見所は退役軍人によるボーナス行進を、地元紙記者のジャック・サマーが取材に行くくだりです。史実に基づいた描写にとても迫力がありました。



ボーナス行進の詳細についてはWikipediaの説明参照。フーヴァー政権下、我々にもおなじみのダグラス・マッカーサーにより強硬なデモ鎮圧が行われました。検閲なしに新聞記事を書く権利を手にするために血気にはやるジャック・サマーが大活躍します。

リリーは地元婦人会に参加するなど、一層地元コミュニティに密着していきますが、金持ちでないことを隠し続けるのも徐々に限界に。そんななか、またしても殺人事件に巻き込まれる異なります。本当に良く事件に出くわす人たちです。

古いミイラと婦人会に参加する求職中の主人の死、それにボーナス行進がどのように関わってくるのか。色々な事件を最後は見事に収束させる手腕に感心しましたが、なんといっても今回のメインはボーナス行進でしょう。不況真っ只中の暗い時代を扱っているのに、相変わらずさわやかな読後感を残してくれるのがうれしいですね。

評価:★★★★☆

次巻:『愛は売るもの』(ジル・チャーチル)

関連レビュー:
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『夜の静寂に』(ジル・チャーチル)

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