2010年7月2日金曜日

『月の砂漠をさばさばと』(北村薫, おーなり由子) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

「月のー砂漠を さーばさばと さーばのみそ煮が ゆーきました」
小学3年生のさきちゃんは作家のお母さんと二人暮らし。楽しくて、暖かくて、ちょっぴり切ない日常を描く12編です。



ほんと、北村氏のセンスに脱帽です。冒頭の引用は、お母さんが料理中に口ずさんだ歌。どうしたらこんな歌詞が思いつけるのやら。おーなり由子氏の絵とも絶妙にマッチしています。

絵本っぽいつくりということで敬遠していたのですが、ひとがた流しをちょっと前に読んだとき、さきちゃんとお母さんがこちらの主人公と知って興味を持ちました。

ちなみにあちらでさきちゃんは大学受験生です。私は「ひとがた流し」のほうを先に読んじゃいましたが、本書を先に読んだほうがにんまり出来る箇所が多いかもしれません。

あとがきにて
割合、普通に(というのも変ですが)、さきちゃんたちのように、お母さんとお子さんで、生活のチームを作っている方に、お会いします。
とあるように、日常としていかにもありそうな関係だからこそ、ユーモアはよりあたたかく、切なさはよりぐっと心にしみてきます。ちょっと私には眩しすぎるくらいですが、好きな人はほんとにのめりこんじゃいそうな、そういう本だと思います。

評価:★★★★☆

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