散々苦労したガリア戦役がようやく終結。三頭の一角クラッスス亡き後、元老院に取り込まれたポンペイウス。伝家の宝刀「元老院最終勧告」に対し、苦悩の末カエサルは戦いを選ぶ。そしていよいよルビコン渡河。賽は投げられた!
面白すぎますねー。まずガリア。いくら叩いても、なんせまとまりが無いだけにどこかの部族がすぐ離反。もぐら叩きのようです。そしてガリア側にもいよいよ「ウェルキンゲトリクス」という若き才能が台頭。ガリア諸部族を巻き込む総決起によりカエサル大ピンチ。
でも、一度はまとまったガリア勢を一気に叩けたからこそ、なんとかガリア戦役を終結させることが出来たとも考えられますね。そうでなければ、またもぐら叩きが続いていたかもしれません。アレシアの戦いは工事力の勝利。ローマの伝統技能が若き才能を打ち破った一戦ともいえるでしょう。
東方遠征のクラッススは、大敗のすえに死んでしまいました。この時期の人としては一番哀れな道化という感じがします。可哀想だけど自業自得ですか。ポンペイウスやカエサルにへんな対抗意識を持たなければ、小ズルイ大金持ちとして一生を全うできたんでしょうね。せめて、カエサルの下で修行した才能溢れる息子が一緒に死ななければ、後事をたくせたのですが。
元老院の出る杭を打つ気質は、日本人の特性とも非常に似通っているように思います。ただ、当時は武力が伴うのでより凄惨な結果となってしまいますね。小泉さんも暗殺で終わってたかもしれない。政治脳のないポンペイウスがあっさり取り込まれてしまうわけですが、きっと根はいい人だったからこそという気もします。
カエサルは反元老院の民衆派筆頭ですが、その元老院と決戦間際となっても、法の遵守を模索していたようですね。そもそも元老院の超法規的性質に反発を持っていたカエサルらしいと言えるでしょう。ガリアに対してもそうですが、まずは寛大な提案をするのに、相手が調子に乗ったら即決で叩きにいくという、ほんとに格好いい男だなと思います。
さて、いよいよポンペイウスとの決戦です。決戦前からこんなに面白いのに、実際に戦うとどんだけ大変なことになるのでしょう。期待値Maxのまま次巻へ。
評価:★★★★★
次巻:『ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上)』(塩野七生)
関連レビュー:
『ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上)』(塩野七生)
『ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)』(塩野七生)
2010年7月3日土曜日
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