さほど歳の違わないポンペイウスと比べると、いまいちパッとしない若き日のカエサル。まぁ、大量虐殺のマルサスを義理の叔父にもったことから、追われる身となった若いころを考えると、なんとか上流階級としてレールに戻ってきた感じですが。
本巻で大物としての片鱗がみえるのが借金総額と女性関係だけとは。しかし、借金できるのも才能なのですね。のちに三頭政治の一角を担う、ちょっとお金に汚いクラッススが最大の債権者だったそうですが、
多額の借金は、債務者の悩みの種であるよりも、債権者にとっての悩みの種になる(P213)散々借りまくって平気な顔のカエサルさんは超かっこいいです。羨ましい生き方ですよね。まぁ、借金の使途の大部分が公共事業のようなので、大っぴらに文句も言いにくかったのでしょう。
軍役にもそれなりについてはいたようですね。若い頃、小アジアを逃げ回る折に傭兵紛いのことをしてみたり、それで戦果もあげているのでやはり才能はあったのでしょうが、やはり実績においては「マーニュス(大王)」を称するポンペイウスと比べるべくもありません。いったいどのような経緯で頭角を表すことになるのか、期待しつつ次巻へ。
評価:★★★☆☆
次巻:『ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)』(塩野七生)
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