2010年6月8日火曜日

『ローマ人の物語 (4) - ハンニバル戦記(中)』(塩野 七生) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

ただ一人の天才による大国ローマへの侵略と蹂躙。ローマの大敗北、そこからの老練の武将たちによる忍従、抗戦、巻き返し。そしてハンニバルに対抗しうる若き才能の台頭。最終決戦へ向けて、これは燃えます。



クライマックスはハンニバルとスキピオの直接対決になるかと思いますが、カンネの会戦でコテンパンにやられたローマのそれからの粘りが感動的です。ファビウス、マルケルス、グラックス、レヴィヌス、酸いも甘いも吸い尽くした将軍たちの忍耐強さがとても格好いい。

一番格好良かったのは「イタリアの剣」マルケルス。カンネの敗戦を教訓に執拗な追撃戦をしかけます。時に大敗を喫してもくじけず、ハンニバルをして
あの男に対しては何をしてよいかわからない。(中略)勝てば勝ったで追撃をゆるめない。負ければ負けたで、負けなどしなかったかのように追ってくる。(P223)
と嘆かせる戦いぶり。半ば事故のような遭遇戦で散った敵将に対し、ハンニバルは丁重に葬るよう命じます。

ローマのすばらしいのは敗者復活の機会が与えられるところですね。スペインで一杯食わされたクラウディウス・ネロが、後にハシュドゥルバルに雪辱を晴らすくだりは溜飲が下がります。マルケルスにしろネロにしろ、負けた経験を蓄積できるのがローマの強みのようです。

そしてスキピオの登場。単身ローマに攻め入り居座り続けるハンニバルに対し、スペイン戦線で同様のことをやり返します。
アレキサンダー大王の最も優秀な弟子がハンニバルであるとすれば、そのハンニバルの最も優れた弟子は、このスキピオではないかと思われる。(P198)
二人の天才による決戦に向けて舞台は整えられていきます。

評価:★★★★☆


関連レビュー:
『ローマ人の物語 (3) - ハンニバル戦記(上)』(塩野七生)
『ローマ人の物語 (5) - ハンニバル戦記(下)』(塩野七生)

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