最終兵器「ドロテア」をめぐり、アウレーリア一統と宇宙海賊と狂信団体が三つ巴で争うお話し。本筋だけ書くととても真っ当なスペースファンタジーといった趣きですが、シリーズ全体の伏線が時間と空間を超えて錯綜してきます。こういっては失礼ながら、段々面白くなってきました。全10巻予定のシリーズ第3巻、ようやく輪郭がみえつつある感じです。信じてきてよかった。
本巻主人公のアダムス・アウレーリア率いる《酸素いらず(アンチ・オックス)》。個人的にはそれほど感情移入できるタイプではありません。陽気な直情系という性質に加え、ガチで「アッー!」の世界。私の萌えポイントは外しまくりなんですが、BL属性の方たちならドンピシャかもしれませんね。ただ、彼らの設定については唸らされました。酸素いらずの肉体改造や同性愛指向の由来、結構ぶっとんでます。
セアキからさえ「狂信団体」呼ばわりされてしまった「救世群(プラクティス)」の「グレア・アイザワ」。陰湿で恨みがましくて実にいい感じの娘さんです。私的には彼女らと「医師団(リエゾン・ドクター)」がやはりいつでもどこでも主役なので、今回はジュノ×グレアが若干脇ぎみだったのが物足りなくはあります。まぁ、冥王斑患者との間でも子供がなせることは明らかになりましたが、いつか本当の意味で報われるときがくるんでしょうか。
各時代の裏側に潜む、超文明だか太陽系外だか電子的だかな存在達。どうやら彼らにも対立軸のようなものがあるのですね。フェオドールやカヨがでてきたのは嬉しかったです。ただ、フェオはともかくカヨの正体が今ひとつ判然としません。大事なところで止まってたのは何かの伏線なのでしょうか。そもそも誰が敵で誰が味方なのか、事実が明かされるほど分からないことも増えていきます。
正直、1巻は救いようがないし2巻はいたたまれないしで、なまじ作品の完成度が高いだけにズシーンとくる結末ばかりだったのですが、本巻でようやく救われた感じです。次回予告の副題は「機械仕掛けの子息たち」。《恋人たち(ラバーズ)》のことでいんですかね。これまた感情移入できなさそうな人達ですが、とても楽しみで仕方ありません。
評価:★★★☆☆
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2010年7月14日水曜日
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