残念ながらとても面白かったです。システム業界のブラック企業を題材にしたライトノベル。私もSE職に従事している関係上、激務とかブラックとかを強調されるのはあまり嬉しくないところなのですけれど。若い人にはあまりこういう職場を普通だとか良い職場だとは思わないでほしいです・・・(^^;
舞台としては『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』と似たような感じです。やっぱり面白い話にするためには逆境が必要なんでしょうか。
就職氷河期にぶち当たった末、なんとかシステム会社に滑り込んだ主人公「桜坂工兵」が、中学生くらいにしか見えない職人肌のネットワークエンジニア「室見立華」から、OJTという名の無茶振りを受けることになります。
何も知らない新卒社員が開発の戦力になれるはずが無いのですが、今回はルータの設定などネットワーク周りの(玄人目には)基礎的な仕事だったので、まぁありかなという気がします。「なれる!SE」というタイトルからすると若干肩透かしな感はありますが。
上司が一人だけの狭い状況というのは、1巻目の設定としては大正解だと思います。いきなりチーム単位のプロジェクトだと、人を書きわけるのも大変そうですからね。ヒロインも良い感じです。会社に泊まる少女というえもいわれぬシチュエーション。
上司の立華自身が完璧な人間という設定ではなくて、仕事の振り方が下手だったりお客さんとのコミュニケーションが苦手だったりと、いかにもなタイプのエンジニアです。実家の商店をたまに手伝っていた主人公がそのあたりをフォローする関係に。二人三脚の成長ストーリというのがなかなか良い雰囲気で好感をもてます。
ひとつに気になったのは、社員数30人くらいの激務の会社で新卒採用するものかな?というところ。普通、この規模の会社では経験者採用か、せめて第2新卒くらいまでだと思います。教育コストが取れないですからね。独立系で志の高い企業ならありかもしれませんが、会社の雰囲気的にそういう感じでもないんですよね。
まぁ、細かい突っ込みどころはありますが、お話しはとても面白かったです。次はチームで作業するSI案件になるんですかね。きっと立華さんの部下という立場は変えられないだろうから、緊急事態でヘルプにはいって、無茶振りされてとかいった展開でしょうか。立華さんの素性もまだ明らかにされていないので、楽しみなところです。
評価:★★★☆☆
続き:なれる!SE2―基礎から学ぶ?運用構築(夏海公司)
2010年7月4日日曜日
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