恋愛ファンタジーという分類でよいのでしょうか。しんみりとした世界観と計算しつくされたストーリー。筆者の守り人シリーズや獣の奏者が好きであれば、文句なく楽しめると思います。一つの物語としての完成度でいえば、上記2シリーズに勝るかもしれません。
完璧といって良い作品ですね。導入から引き込まれて一気に読んでしまいました。ただ、私の好みからするともうちょっと明るい感じの話のほうが好きかも。もっとも後味が悪いわけではないので、そこは安心して読んでいただいてよろしいかと思います。
人の声が聞こえたり霊孤なんてのがでてきたりと、話の素材だけでいえば電撃文庫でもおかしくない話ですけれどね。そう考えるとあまりのギャップに笑ってしまいそうです。もちろんどちらも好きなのですけれど、小説ってのはつくづく料理の仕方次第なのだなと感じさせられます。
主人公の小夜と野江にも感情移入はさせられるのですけれど、それにもまして脇キャラの味が抜群に良いですね。大朗や鈴や小春丸なんかもよかったですし、とりわけ野江の同僚にあたる霊孤の玉緒が実にいい味出してましたね。こういうジョーカー的なキャラは大好きです。
読書の玄人であればあるほど評価が高くなりそうなお話しだと思いました。私みたいな俗な読み手からすると、作品の完成度があまりに高すぎて、逆にこの話を好きになるポイントというのが見つけにくかったりもするのですが、堅苦しい作品というわけではないので、万人に楽しめる傑作だと思います。
評価:★★★☆☆
2010年9月23日木曜日
2010年8月2日月曜日
『蒼路の旅人』(上橋菜穂子)
守り人シリーズ第6弾。シリーズ最終章となる「天と地の守り人」3部作へのプレリュード的位置づけの作品となりますが、淡々と読み進めていたらラストにとんでもない展開が待ちうけていました。
タイトルが「旅人」となっていることからお分かりの通り、新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが主人公でバルサは出てきません。タルシュ帝国に囚われたチャグムが、虜囚の身からタルシュに征服された国々をみて何を思うのか。そして、タルシュ帝国王子ラウルとの対決、帝国から求められた役割に対して、チャグムがある決断をすることになります。
タルシュ帝国はローマを彷彿とさせますね。侵略した国々に対して徹底したインフラ整備を行い、内政は基本的にその国の民に任せる方式です。結果的に、征服された国々は文明度が上がり、政治にも目を光らせているため、むしろ民草にとっては歓迎すべきといえなくもない状況となっています。絶対的に悪とは言い切れないタルシュ帝国の治世について、チャグムがどのようにスタンスを決めるのかが本書のクライマックスで明かされます。
結構淡々と話は進むので油断していたのですが、終章の展開は実になんとも爽快な結末をみせます。準備的位置づけの作品ながら、本書単体でも実にまとまりのある一個の作品となっているのです。上橋さんの作品は今まで結構読んでいるので、作者の手腕については十分に分かっていたはずなのですが、あらためて驚嘆することとなってしまいました。
次作、文庫を待つかソフトカバー版
に手を出してしまうか、とても悩ましいです・・・
評価:★★★★☆
タイトルが「旅人」となっていることからお分かりの通り、新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが主人公でバルサは出てきません。タルシュ帝国に囚われたチャグムが、虜囚の身からタルシュに征服された国々をみて何を思うのか。そして、タルシュ帝国王子ラウルとの対決、帝国から求められた役割に対して、チャグムがある決断をすることになります。
タルシュ帝国はローマを彷彿とさせますね。侵略した国々に対して徹底したインフラ整備を行い、内政は基本的にその国の民に任せる方式です。結果的に、征服された国々は文明度が上がり、政治にも目を光らせているため、むしろ民草にとっては歓迎すべきといえなくもない状況となっています。絶対的に悪とは言い切れないタルシュ帝国の治世について、チャグムがどのようにスタンスを決めるのかが本書のクライマックスで明かされます。
結構淡々と話は進むので油断していたのですが、終章の展開は実になんとも爽快な結末をみせます。準備的位置づけの作品ながら、本書単体でも実にまとまりのある一個の作品となっているのです。上橋さんの作品は今まで結構読んでいるので、作者の手腕については十分に分かっていたはずなのですが、あらためて驚嘆することとなってしまいました。
次作、文庫を待つかソフトカバー版
評価:★★★★☆
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