恋愛ファンタジーという分類でよいのでしょうか。しんみりとした世界観と計算しつくされたストーリー。筆者の守り人シリーズや獣の奏者が好きであれば、文句なく楽しめると思います。一つの物語としての完成度でいえば、上記2シリーズに勝るかもしれません。
完璧といって良い作品ですね。導入から引き込まれて一気に読んでしまいました。ただ、私の好みからするともうちょっと明るい感じの話のほうが好きかも。もっとも後味が悪いわけではないので、そこは安心して読んでいただいてよろしいかと思います。
人の声が聞こえたり霊孤なんてのがでてきたりと、話の素材だけでいえば電撃文庫でもおかしくない話ですけれどね。そう考えるとあまりのギャップに笑ってしまいそうです。もちろんどちらも好きなのですけれど、小説ってのはつくづく料理の仕方次第なのだなと感じさせられます。
主人公の小夜と野江にも感情移入はさせられるのですけれど、それにもまして脇キャラの味が抜群に良いですね。大朗や鈴や小春丸なんかもよかったですし、とりわけ野江の同僚にあたる霊孤の玉緒が実にいい味出してましたね。こういうジョーカー的なキャラは大好きです。
読書の玄人であればあるほど評価が高くなりそうなお話しだと思いました。私みたいな俗な読み手からすると、作品の完成度があまりに高すぎて、逆にこの話を好きになるポイントというのが見つけにくかったりもするのですが、堅苦しい作品というわけではないので、万人に楽しめる傑作だと思います。
評価:★★★☆☆
2010年9月23日木曜日
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