「本能寺の変」の謎を、信長の元側近で「信長公記」の著者「太田牛一」の視点から追う歴史ミステリです。2章あたりは少々退屈でしたが、3章からヒロインらしき女人も登場して面白くなってきました。70歳の爺さんが主人公なのにお色気シーンがあります(笑)
私は知らなかったのですが、「信長公記」という書は信長研究には欠かせない本だそうですね。そういう主人公の性質からも、戦や腕っぷしにものをいわせる戦国ものではなく、あくまで隠居老人による謎の探索がメインとなっています。もっとも、牛一自身はその名の通り牛のような大男だったそうですが。
謎がいくつか出てきます。本能寺の変のこと、信長から命がありしだい運ぶよう言われていた5つの箱のこと、太閤秀吉の不可解な関与など。上巻だけだと、話しの本筋がどちらにあるのかまだ見えてきません。
筆者は証券業界やベンチャー育成など経済人としてのキャリアが長い方だそうで、これまでの著作はビジネス書がメインだったそうです。そのキャリアからして、現代視点からみた当時の経済事情などが話の中心になるかと思っていたのですが、いまのところはそうでもありません。ただ、当時の風俗や風習についてはかなり念入りに書き込まれていて興味深いです。
「信長公記」を書き終え、秀吉に納品しようというところで上巻は終了です。これがクライマックスなのかどうか、いまいち良く分からないのですね。どういう風に話しが転ぶのか楽しみにしつつ次巻へ。
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2010年8月16日月曜日
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