2010年8月27日金曜日

万能鑑定士Qの事件簿V(松岡圭祐) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

莉子のパリ旅行。かねてより憧れだったルーブルやオルセーをじっくり堪能するつもりが、いつものごとく物騒な事件に巻き込まれてしまいます。こう言っては大変申し訳ないのですが、今回は小笠原君の出番が殆どなかったのが良かったです。「残念男子」というジャンルがすっかり確立されつつある昨今ではありますが、彼が相方だとなんとなくテンション下がるんですよねぇ・・・



今回はイケメン男子が二人登場します。一人は高校時代の恩師「喜屋武友禅(きやんゆうぜん)」先生。頭が空っぽだった高校時代の莉子しか知らない先生は、海外への一人旅と聞いて心底心配し、パリへの同行を申し出ます。莉子の逡巡をよそに、男女二人きりの旅という点を全く気にしない先生と両親のずれっぷり。しかし、先生が莉子に対して少しも下心を持っていないことは、後にはっきり明らかになります。

もう一人は高校時代にお互いちょっといい感じだった同級生の「楚辺瑛翔(そべえいしょう)」。彼はフォアグラ料理で有名なレストランで調理師修行をしています。今回はそのフォアグラがらみで事件がおきてしまい、店の存続がかかる事態に莉子は首を突っ込んでいくこととなります。

毎回圧倒的な薀蓄をみせる松岡氏の作品ですが、もうフランスとなると本当だか嘘だか見極めようという気さえ起こりませんね。一点を除けば特に問題なくすんなり読めました。問題の「一点」がなにかは、読んだ方ならすぐに分かってもらえるでしょう。

事件の動機についても薀蓄がベースになっていますが、これはなかなか腑に落ちる良く出来たものだったと思います。実際ありそうな話しですし、犯人のキャラ的にもぴったりマッチして説得力がありました。場所を海外に移したわりに、話のスケール自体はそれほどでもありませんが、逆に風呂敷を広げすぎないのが良いほうに転がった印象です。

喜屋武先生はいいキャラですね。女生徒のひとり旅に強引におしかけるとは、いくら心配とはいえ空気読めなさ過ぎなきがしましたが、彼の事情を知ってまぁ納得。ほんとにこんなこと言っては申し訳ないんですが、小笠原君に代わってレギュラーになってもらえないもんですかねぇ・・・

評価:★★★☆☆

関連レビュー:
『万能鑑定士Qの事件簿4』(松岡圭祐)

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