2010年10月5日火曜日

秀吉の枷〈中〉(加藤 廣) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

上巻の続きです。信長の死後、秀吉による天下取りの軌跡が描かれています。最も華々しいところのエピソードなので読んでて楽しいですが、本能寺の変の影響がそれほどでもなかったのは若干肩透かしかもしれません。



信長の死を予見した秀吉の「中国大返し」。歴史的事件の背景をシリーズ独自の設定から解釈しているのが本書の見所となります。もっとも、信長の遺児たちをあしらい柴田勝家ら旧臣たちを実力で打ち倒す様子は、その設定が無くても普通に面白いです。

本書のタイトルどおり、本能寺の変への関与は最大の敵である家康に知られるところとなり、大幅な譲歩をせざるをえないウィークポイントとなってしまいます。ただ、それは歴史上の不可解な現象を説明するためのおまけに過ぎない印象も。やはり、真相も含め全てが明らかになるのは続編にお預けかもしれません。

本書では天下取りなった後の後継者問題、すなわち子作りにまつわる側室たちの話も大きく取り上げられています。その話題の性質から、ちょっぴりエロイ展開ありです。次々と側室を変えて、お楽しみというより必死の試み。淀の方はまだあまり登場がありません。

本書でも太田牛一は出てきませんでしたね。これはずっと出てこないことになりそうで、ちょっと残念です。なんとなく、後は普通の太閤記になりそうですかね。栄華を極めるのに比例して荒んでいく一方となりそうなので、下巻は鬱な展開メインとなってしまうのでしょうか。

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