2010年10月25日月曜日

万能鑑定士Qの事件簿VI(松岡圭祐) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

莉子にライバル登場。ICPOから「All-round Counterfeiter(万能贋作者)」の疑いをかけられている女詐欺師「雨森華蓮(あまもりかれん)」。ホームズvsルパンのごとき直接対決は燃えるシチュエーションですが、いわゆるお約束っぽい収束にならなかったのが本シリーズらしくて良かったです。



万能贋作者といっても「ゼロ」みたいなのではありません。鋭い観察眼と洞察力を武器に生産ラインを調達する、プロデューサー的な手口です。現代らしい知能犯ですね。

二人のスキルがもろに被っていますが、直接対決は華蓮に終始押されぎみ。少しだけ年上の余裕からか、華蓮にはいいように使われる展開となってしまいますが、もちろんそれだけでは終わらないのでご安心を。

しかし、怪盗vs探偵というのは同じ能力であれば探偵側に有利な気がしますね。探偵側は真相を見抜いて警察権力にバトンタッチするだけですが、怪盗には構想力や実行力など、多岐にわたる能力が必要とされます。

子供のころはルパンよりホームズのほうが好きでした。理由は正義の味方だから。この歳になってルパンびいきの母の気持ちがわかってきたような気がします(^^;

このシリーズの良いところは、ハイスペックな登場人物がみせる人間的弱さ。本作も例外ではありません。傲岸不遜一辺倒の怪盗役も悪くありませんが、特にラスト付近で見せた華蓮の弱さが私は好きです。

評価:★★★★☆

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