トミーとタペンスシリーズ第5弾。シリーズ最終作にして、クリスティが最後に執筆した作品でもあるそうです。好意的に表現すればスローペース、ぶっちゃけかったるい作品ですが、色々と過去の事件に触れられていたのは、集大成っぽくてよかったです。
前作「親指のうずき」もそうだったのですが、クリスティ晩年の作品のためか、話の進め方が妙にまどろっこしいですね。話が動き出せば楽しめるのですが、そこにいたるまでが長かったです。
今回は事件そのものについてもぱっとしませんでした。唐突に登場する人物は多いし、うまいことすれば魅力溢れる存在になりそうな少年少女の探偵団たちも、結局何のために出てきたのか分かりませんし。
こんなこといっては何ですが、本作を書いたのがクリスティ80過ぎてからの晩年の作ということもあるのですかね。さほどクリスティを読んでいるわけではありませんが、有名な作品は大抵初期に発表されたもののような気がします。
ただ、トミーとタペンスのファンとしては、過去の作品の内容にかなり触れられいたのが嬉しかったです。特に3巻で養女となったはずなのに4巻では完璧にスルーされていたベティ。本作でも登場はしませんが、近況が明らかになってほっと一安心です。
正直なところ、お世辞にも出来のいい作品とは言いがたいと個人的には思いますが、クリスティ最後の作品という歴史的価値、それにトミーとタペンスシリーズの締めくくりということを考えれば、クリスティファンとしては読んでおきたい作品でしょう。前半何とか我慢してくれれば、後半はそれなりに楽しめるかと思います。
評価:★★☆☆☆
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2010年10月17日日曜日
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