江戸時代、町名主の放蕩息子「麻乃助」が悪友たちと事件を解決していくお話し。面白い設定のミステリ小説ですね。しっとりした男女関係もたくみに描かれた、優しくてちょっぴりほろ苦い作品です。
軽微な揉め事は奉行所に代わり町名主が決着をつけます。その跡取りという比較的自由な立場を主人公に用意したのが上手いところ。「麻乃助」がフットワーク軽く歩き回り、事件の事情を探っていきます。
焦がれる思いを忍ばせる相手は、悪友「清十郎」の父親に後妻として入った、幼なじみでもある2歳上の「お由有」さん。そして奇妙な関係の許嫁となる、もう一人の悪友「吉五郎」のまたいとこで武家の娘「お寿ず」。
取った取られたの人間関係にはなりません。お互いがひっそり秘めた思いが時折垣間見える様子に、何とも切ない味を感じるのです。
ミステリとしてもなかなかのもの。「しゃばけ」シリーズと比べて人外の理がない分、より本格的といえます。
ちょっと時代小説としては軽めかなと思わせるところもありますが、ユニークなシチュエーションを見事に料理した佳作です。
評価:★★★☆☆
2010年5月19日水曜日
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