2010年5月12日水曜日

「新釈 走れメロス 他四篇」(森見登美彦) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

独特のユーモアで塗りたくられた、いつもどおりの森見節全開の作品。森見さんの作品って、作者名伏せても絶対わかりますよね。古典を下敷きにしようがそれは全く変わりませんでした。



ご本人はあとがきにて

古典的名作を勝手に改変するのだから、「何の権利があっておまえはそんなことをするのか」と怒る人があるに決まっている。(P254)

なんておっしゃられていますが、ここまであきれた違った作品になってしまうと、苦笑こそすれムキになって怒るような人を想像するのは難しいですね。もっとも、ご本人も本気で心配などさらさらしていなさそうですが。

作品の下書きとなる古典のうち、前半3編の「山月記」、「藪の中」、「走れメロス」は読んだことありましたが、「桜の森の満開の下」と「百物語」は未読だったため、読み始める前はちょっと心配していました。でも、未読でもまったく問題なかったです。というか、短編集といいつつ全体的に微妙にリンクしているので、出展元は関係無しに、本作品をありのまま楽しめばよいのではと思います。

しかし、表題作の「走れメロス」については元の作品も読み返してみましたが、オリジナルも相当とんでもな話しですよね。メロスよ、お前はどんだけ駄目人間なんだと。小さいころはただ感動しただけだった気がする。やっぱ、文学作品は子供が読むもんじゃありませんね。

評価:★★★☆☆

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