孔子が「義」とか「孝」とか割とお堅いのに対し、老子はそういった凝り固まったのはいけないよと説いています。明らかに「論語」を踏まえた批判なので、そういう意味では孔子なくして老子なしとも言えるかもしれません。
大学の卒論で安藤昌益を扱いましたが、老子の思想に似ていますね。彼は「知識」こそを階級の由来として批判し、直接農耕に従事する「直耕」を実践しました。頭でっかちじゃいかんよといってるのですね。
対照的な思想の二人ですが、文章の耳触りがいいという点では共通していますね。孔子の
道に説きて塗(みち)に説くは、得をこれ棄つるなりとか、老子の
知る者は言わず、言う者は知らずとか、ほんとに上手いこというなと感心させられます。孔子なんかは「巧言令色」を度々戒めているのに、その本人が上手いこと言いまくっててどうすんだという感じです。
延々と章句が並べられていて、構成としては若干退屈な感もなくもないですが、筆者のぶっちゃけた解釈など結構面白いですし、原典にあたるよりは手軽に勉強できてよい本だと思います。
評価:★★☆☆☆
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