初っ端から引用の引用という筋の悪いことをして恐縮ですが、
日本人にも自尊心はあるけれど、その反面文化的劣等感がつねにつきまとっている。(中略)おそらくこれは、はじめから自分自身を中心にしてひとつの文明を展開することのできた民族と、その一大文明の辺境諸民族のひとつとしてスタートした民族とのちがいであろうと思う。(P21)という「文明の生態史観」(梅棹忠夫)からの引用が、本書の要約になるとのことです。このことについて、事例を色々挙げながら解説、というより念を押し続けていっています。
一例を挙げると日本という国名、日の登るもととなる国ということですが、これは日本を東側に置く中国視点の命名です。大国との相対的な位置でしかアイデンティティを決められないのが辺境の国、日本だということです。
こういう日本人の困ったところは、主張に理屈が無いところ。外国ではこれこれだからこれで間違いないんだという、ロジックを突き詰めず他人に依存するメンタリティこそがいかにも日本人らしい特徴となります。
昨今話題の普天間についてもそういうところがありますね。アメリカの顔色と当事者の声にはさまれて右往左往している様子の中には、こういう理屈だからこうあるべきなんだという視点がかけらも混じっていないようです。
筆者はこのような性向を悪いものとばかりは見ていません。外国文化の許容に対する柔軟さや・・・うーん?このレビューを書くためにパラパラ本を読み返しているんですが、日本人の何が良いのかいまいち良くわかりませんね。
筆者は「日本の辺境性は悪いことではない」とところどころ言っているのですが、少なくとも悪くは無くても格好悪い気はします。私の読みが浅いだけなのでしょうが、ほんとはこの本って馬鹿な日本人を笑ってるだけな気がしてきました。
一応最初に主張らしきものを出しちゃって、その後延々とそれについて補強していくスタイルの文章なので、私は正直読んでて眠くなりました。大昔に読んだ(はずの)「日本の思想」とか「菊と刀」あたりがまだ頭の片隅に残っていたためですかね。あまり知的刺激を感じられなかったからかもしれません。
ただ、日の丸や君が代を礼賛しているその根拠はナンですか?というあたりのくだりはとても共感がもてました。自分自身の言論を見つめなおすというのは、いかにも日本人の苦手っぽい気がしますね。空気に流されがちなネトウヨさん達(私もその気があるけど)は気をつけたほうが良いですよ。
評価:★★☆☆☆
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