「危機管理」の本質は「予防」にあるわけですが、これが日本人の大の苦手とするところ。平和とか豊かさとかいったものは、まず自身の安全を確保してからでないと語れません。本書における現政権への批判には、背筋が寒くなると同時にもうなるようにしかならないのかなという諦めの気持ちさえ感じてしまったりします。
「軍師」に必要な資質は「人脈」だと述べられています。
「軍師」には、「自分が何を知っているか」「自分が何をできる」だけではなくて、「何を知っている誰を知っているか」「何ができる誰を知っているか」の方が百倍も大切なのだ。(P21)民間の世界でもマネージャの資質としてよく言われることですね。人間、一人で成し遂げられることはたかが知れています。
民主党の「政治主導」についても考えさせられます。方針はよくてもやり方がまずい。素人の不勉強な大臣が浅慮な意思決定してしまっているがための、現在の迷走なのでしょう。
最初に刊行された2007年当時とは政治状況が激変しているため、1章が新しく書き起こされて、民主党政権への警告とされています。本の内容全般に時事的風化から来るちぐはぐ感は否めませんが、それぞれのエピソードはその主張だけでなく読み物としても面白かったです。
評価:★★☆☆☆
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