新入社員が修羅場を体験して成長していく、IT土方物語第2弾。業界の中の人である私には面白かったのですが、業界外の人や学生さんが読んでも楽しめるんですかね?逆にIT業界の人でも、トラウマを刺激されて読み進められない人もいるかもしれません。
前巻のレビューはこちらです。
今回は構築vs運用のバトルものです。「運用が巻き取ってくれない!」「まともなドキュメント寄こせ!」。もはや理屈を超えて感情的対立に発展した事態を、新人SE「桜坂」がどのようにおさめるのか。
本書一番の秀逸は3章(レイヤー3)冒頭でのメールのやり取りです。冷たい口調で詰問の応酬。こういうの良く見る文章なんですよね。ほんと、現場の感じが嫌な形でよく出てます(^^;
一般的に、できる技術者ほど文面が冷たくなっていく印象があります。言い訳めいたことが減り、内容の無駄を極限まで省くようになるのですね。私はソフトな人柄なのでそうでもありませんが、相手を詰問する時にはこういうメール実際書きます。鬼の首を取る勢いで容赦なくやるのがこつです。
弱小SIerが舞台ということで構築も運用も一人ずつしか登場してこないため、実務を知ってる人には物足りなく感じる面もあるかと思います。ただ、これは筆者の計算でしょうね。登場人物を減らして構図の単純化。この試みは成功していると思います。
この話、私としてはなかなか楽しく読めたのですが、普通のライトノベルとして考えるとキャラ立てやストーリーがちょっと弱いかもしれませんね。内輪受けな部分が多々あるかと思いますが、逆にIT業界の臨場感を味わっていただくにはよろしいかと思います。
ただ、この話でIT系に行きたくなる人ってなかなか少ないでしょうねぇ・・・そこだけは少し残念です。まあ、筆者からしてITを脱出した方なわけですし、やむをえないところかもしれませんが。なにかこう、思わずSEになりたくなるような作品を、どなたか書いていただけないでしょうか。
評価:★★★☆☆
関連レビュー:
『なれる!SE―2週間でわかる?SE入門』(夏海公司)
2010年10月14日木曜日
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