タイトルから感じた印象と違い、それほどスカッとした作品ではありませんでしたが、500ページ近い大作の割には結構すんなり読ませてくれます。正義の味方が悪人をやっつけるというより、正義とは何かを考えさせられる作品です(かゆい表現ですが)。
高校時代いじめられっ子だった主人公「蓮見亮太(はすみりょうた)」。大学デビューにも失敗しかけたところを「トモイチ」こと「桐生友一(きりゅうゆういち)」という同級生に助けてもらい、彼が所属する「正義の味方研究部」に案内されます。
彼らは少数精鋭集団。トモイチも高校時代ボクシングでインターハイ制覇というツワモノです。そんな部に亮太は見込まれて勧誘されることになります。亮太の何が買われたかと言うと、トモイチのパンチを目で追えていたとか何とか。まあいろんな意味で結構微妙です。
部員達がいかにもフィクションめいたチートなスペックを持つわりに、ストーリーはよく言えばリアル、悪く言えば陰気臭い感じで進みます。亮太も天性の才能を開花させるというようなことはありません。ただ、話の作り自体は流石にこなれた印象で、ラスト付近も意外な展開が続いて楽しめました。
正直、主人公に感情移入しにくかったため、文章自体は読みやすいにもかかわらず、特に前半は読み進めるのがなかなかしんどかったです。作品の雰囲気としては伊坂幸太郎の「砂漠」なんかが近い感じですが、あちらの作品のような爽快感はありません。
文体は軽く、テーマは重く、キャラはラノベというちぐはぐな印象で、どのように楽しめばよいのか分かりにくい作品でした。私はどちらかというときっちり割り切った分かりやすい作品が好きなので、その点好みに合わない感じでしたが、一筋縄ではいかない曲者展開が好きな方には楽しく読めるのではないかと思います。
評価:★☆☆☆☆
2010年10月8日金曜日
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