カバーの萌絵に騙されると痛い目にあうかもしれません。ちょっとエグいオチの多いSF短篇集です。全体的に物語要素は薄いですが、センスオブワンダーを期待するSFファンにはたまらない作品でしょう。
作中やあとがきでアシモフについてちょこちょこ触れられていますが、なるほどアシモフのSF短編集を彷彿とさせるようなアイデアが盛り沢山です。以下、各話の感想です。
■ 天体の回転について
はるか未来、ロストテクノロジーの軌道エレベーターに乗り込んだ若者が、ホログラムの女性コンパニオン「リーナ」から色々なレクチャーを受けつつ、月へ旅していくお話。ただし言葉は通じてません(笑)
■ 灰色の車輪
ロボット工学三原則が題材になっています。人間の能力を超えたロボットというテーマはよくありますが、三原則の具体的な実装方法をつきつめているのがユニーク。たしかに、こういう展開もいかにもありそうです。
■ あの日
いきなり男が高校の校舎で人を殺し始めます。しかし、なんとなく描写に違和感を抱かせる、その理由とは?途中までは面白かったのですが、最後はそう落とすのかぁ・・・
■ 性交体験者
「エロチックSF」というテーマを与えられて書いた作品とのこと。あとがきでアシモフの「神々自身」が引き合いに出されていますが、たしかに同じくらいエロイです。
■ 銀の舟
よくある未知の超文明との接触、かと思いきや最後に意外なオチが待っています。感情移入しやすい女性キャラだとおもったらすっかり騙されましたぜ。
■ 三00万
ハイテクノロジーを有する超好戦的な種族が地球に襲いかかる侵略戦争もの。元寇のとき、日本の武士は名乗りを上げている間にポコポコやられていったといいます。まあ、そんな感じの話。
■ 盗まれた昨日
全人類が10分しか記憶を保持できない前向性健忘症になってしまうお話。関係ないけど、前向性健忘症についてぐぐったらこんな2ちゃんスレのログをみつけた。良スレだ。
■ 時空争奪
川の流れや時間の流れが乗っ取られていくお話。ちょっと難しかったです。
物語好きの私としては正直ちょっと苦手な作品が多かったです。ただ、それを補ってあまりあるSF的アイデアの数々にはすっかり感心してしまいました。
評価:★★☆☆☆
2010年10月13日水曜日
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