なんというか、トリック自体は前作同様フェアじゃないのかもしれませんが、ミステリスピリットに満ち溢れています。読み返して二度楽しい伏線満載。相変わらず無駄を極力省いた構成も素晴らしいです。
永遠の命をもつという「識別組子(しきべつくみこ)」が首切り死体で見つかります。赴任してきたばかりの生物教師「伊藤」が、死んだはずの識別とともに事件の真相を追います。何を言ってるのか分からないと思いますが、本当にそういう話なのです。
重要な女性キャラが結構たくさん登場するのですが、なかでもヒロインの識別はクール系で実に良いです。表紙絵の女性は一番目の識別だと思いますが、この容姿の彼女がすぐに殺されてしまうというのは、映像化すると残念なことになりそうですね。
識別に極端な思い入れをみせる転入生の眼鏡っこ「天名珠(あまなたま)」。登場時点からいい味出したキャラだなと思っていましたが、彼女があのように事件に絡んでくるとは。何かあるとは思っていましたが、予想の遥かに斜め上でした。
私的に一番つぼのキャラは、広末涼子似だという物理教師の「受村(うけむら)」先生。彼女がいるとのことでしたが、どんな彼女なんでしょう。というか、受村に彼女がいるのは矛盾してる気がしますが、そういう設定ということでしょうか。
とにかく読み終えてから振り返ってみると、あれもこれも伏線だらけ。作品タイトルについても、なんとなくスルーしていたらとんでもない意味が込められていました。メインのネタ自体は、厳密に言えば粗があるような気がするのですが、些細なことはスルーして、独特の野崎ワールドに浸るのが良い読み方でしょう。
評価:★★★★☆
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2010年10月27日水曜日
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