警察を退職後、作家に転身した「大道寺圭」が遭遇した5つの事件についての連作短篇。同時に語られる「大道寺圭最後の事件」が、現在と過去を微妙にリンクさせる技ありな作りとなっています。
「死んでも治らない」は大道寺圭初著作のタイトル。実際にあったマヌケな犯罪者たちについてつづられているそうな。「治らない」のは「馬鹿」のこと。かといって、本作がまったくおマヌケなテイストかというと、そうでもありません。
詳細はネタバレになるので避けますが、結構ブラックです。ブラックといっても、表現がグロいとかでなく機知に富んだ黒さなので、ホラー嫌いな方でもそれほど抵抗は感じさせないかと思います。
主人公の大道寺圭がなかなか格好いいです。裏書きにてコージ・ハードボイルドと評されるのもなるほどです。もう少し女性の影があってもいいかと思っていましたが、これも伏線だったのかなと読了後に思いました。考えすぎな気もしますが。
若竹七海氏のコージーミステリが好きで、葉崎市シリーズは大体読んでいまが、氏のもう一つの持ち味であるブラックなテイストについても結構いけそうな気がしてきました。
評価:★★★☆☆
2010年6月14日月曜日
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