江戸時代深川に新しくできた料理屋が舞台、幽霊がみえるようになった12歳の少女「おりん」が主人公の物語です。面白いには面白いのですが、まだ前編のせいか鬱な事件しか起こってません。宮部さんの文章力がなければきつかったかも。
引越し先に住み着いていた幽霊たちとのふれあいが素敵です。男前なお侍の「玄之介」、とても美人な芸者風のお姉さん「おみつ」、病気を治してくれた無愛想な按摩の「笑い坊」、いきなり刃物沙汰をおこしてお店の評判を地に落としてくれた、でもなにかわけありそうな「おどろ髪」、そして謎の言動を取る得体の知れないあかんべえの少女「お梅」。それぞれが何かしらの事情を持っていそうなので、話しがどう回っていくのか楽しみです。
前編だけ読んだ限りでは、少しおりんの性格がつかみにくい気がしました。幼いのかしっかりしているのかはっきりしない。逆にそういう不安定さが、微妙な年頃の女の子に対する描写としては的確なのかもしれません。あるいは私が男だからピンとこないのかも。女性が読むとまた思い入れも変わってくるのかもしれません。
時代小説といいつつ、さすが宮部さんの作品だけあってミステリテイスト満載です。なにやらわけの分からない伏線があちこち散らばっているようで、こんなの回収しきれるのかなというくらいですが、そこは熟練の筆者を信頼して下巻に臨みたいと思います。
評価:★★☆☆☆
2010年6月4日金曜日
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