2011年4月8日金曜日

囲碁小町嫁入り七番勝負(犬飼六岐) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

町の腕自慢レベルの話かと思ったら結構本格的。ヒカルの碁でおなじみ本因坊秀策も出てきます。というか第五局のモデル、将棋の加藤一二三九段ですよね(笑)



こてんぱんにやっつけた相手からどこを気に入られたのか、孫の嫁にと望まれた薬種商の娘「おりつ」。委細を知らずに七番勝負を承諾してしまったものの、ちゃらちゃらしたいけ好かない相手に嫁いでなるものかとおりつは奮戦しますが・・・

囲碁は置石でハンデをつけやすいのがよいですね。対戦相手は格上が多いため、先や二子などの手合いによる勝負が中心となります。おりつの棋力は初段格とのこと。プロアマ別れていない時代のことなので、田舎ならそれだけで食べていけるくらいの実力とされています。

対戦相手はバラエティに富んでいて、気持ちよい手を打つものもあれば番外戦術を駆使する嫌らしいものもあり。対局を重ねるごとにおりつが何かをつかんでいきます。とはいえ、成長物語の部分はそれほど力も入って無かったですかね。急に強くなるわけでないのは、リアリティがあってよかったです。

しかし、第五局の相手、空咳とか盤面を相手側から見るとか鰻好きとか、どう考えても将棋の加藤一二三九段がモデルですよね。将棋好きな私としては嬉しかったですが、囲碁ファンとしてはどうだったんでしょう。あるいは他の対戦相手に囲碁棋士のモデルがいたのですかね。

対戦相手は総じてレベルが高く、本因坊秀策も登場してきたりと思いのほか本格的な印象です。ただ、具体的な参考棋譜などは無いようで、図面なども全く出てきませんので、囲碁ファンには少し物足りないところもあるかもしれません。

番勝負自体はとても楽しめたのですが、オチがちょっと弱かった気もします。そこに落とすのかという。嫁入り自体についても少し含みの残るような終わり方になっていて、多少もやもやが残った感は否めません。

一話完結の話としては若干物足りなさも残ったものの、作品そのものの雰囲気はとても好みに合いました。天地明察が好きな人にはあうんじゃないでしょうか。続編に期待したいですが、あの終わり方だと難しいかもしれませんね。

評価:★★★☆☆

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