2011年4月7日木曜日

ビブリア古書堂の事件手帖 - 栞子さんと奇妙な客人たち(三上延) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

小さな古書店を舞台にしたミステリ連作短編集です。古書に詳しい方にはどうだかわかりませんが、門外漢の私には薀蓄がちょうど程よい具合でした。なにより栞子の名探偵ぶりが素晴らしいです。



子供の頃のトラウマで本を読み通すことができず、読書への漠然とした憧れを持っている「五浦大輔(ごうらだいすけ)」と、内気でどもり癖があるのに本のことになると過剰に饒舌な古本屋店主「篠川栞子(しのかわしおりこ)」。

大輔が持ち込む古書にまつわる話に、入院中の栞子がベッドの上で真相を推理するというアームチェアディテクティブの形式となっています。

全4話のそれぞれがなかなかきれいにまとまっているのに加え、全話を通した大きな謎も用意されていて、かなり私のストライクゾーンど真ん中な構成となっています。

古書のことをあまり知らない私には薀蓄も面白かったです。栞子のいかにも本好きな、ちょっとだけヤンデレも入ったキャラクターがとても良かったですね。各話の超控えめなお色気シーンもGoodです。

せどり屋の志田がなかなか良いポジションです。古書店をまわって安い本を転売する仕事だとか。志田は自身の知識で勝負していますが、質屋の友人によると、そういうリストがネットなどで売っていて、それを参考にする素人商いも多いのだそうです。

筆者のファンタジー作品なども多少読んでいますが、本書の雰囲気のほうが私としてはより好みですね。専門的なミステリ屋さんからすれば甘いところもあるかもしれませんが、名探偵栞子の演出がしっかりミステリしているのがとりわけ好印象なお話でした。

評価;★★★★☆

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