2011年3月28日月曜日

シューカツ!(石田衣良) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

主人公たちがマスコミ志望のハイソなグループなので、渦中の人が読むと苛立つこともあるかもしれませんが、就職活動における苦しさの本質というのは、私がやってた頃と変わらないなという気もしました。



就職活動なんてどんなマゾな人がするのかという感じですが、実際には多数の学生が洗礼を受けることになるわけです。私のときも就職氷河期真っ只中。社会人になるってこんなに厳しいことなのかと当時は思いました。

ただ、私の苦しさは自己分析の甘さや身の程を知らなかったことからきていたように思います。何しろ周りの先輩や同期がみな理系か公務員試験組みだったこともあり、就職活動の本質を悟るまでに結局30社ほどかかってしまいました。

その点、本書の主人公「水越千春(みずこしちはる)」たち鷲田大学生7人のグループは準備万端です。大学3年に入った早々に就活のためのプロジェクトチームをたちあげます。それでも苦労するのは、最難関のマスコミ志望だから仕方ありません。

グループの中でも明暗ははっきり分かれます。思うにいくら準備をしっかりしていても、本人の素養を超えたところでの勝利を得るのはかなり厳しいことなのですね。頑張ったからといって報われるとは限らない世の中です。

小説のでき自体はお世辞にも良いといえないように思います。6章だてのうち、本格的に就職活動に突入する最終章以外は読んでるのがしんどかったです。プロジェクトチームもなんだか微妙な感じでしたし。

あまり多くを期待しなければ本書から得られるものもそれなりにあるのではないかと思います。見栄を張られるのが一番痛々しいという採用側の視点は、割と普遍的な教訓になるのではないでしょうか。

準備はやはりそこそこしておくべきです。そして自分の適性をわきまえて見栄を張らない。それだけで就職活動はぐっと楽になると思います。もちろんあえて茨の道をいくのも一つの選択ですけれど、私はもう一度やれといわれてもやりたくありません。

評価:★★☆☆☆

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