葉崎市「猫島」を舞台にした、猫がたくさん出てくる連作ミステリ短編集です。猫好きの方にお勧め。葉崎市のシリーズは基本のんびり基調ですが、わけても猫島はゆるすぎるくらいゆるい感じがとても和みます。
葉崎市シリーズでは7作目になるでしょうか。他のシリーズ作品が未読でも全然大丈夫ですが、同じ猫島を舞台にした「猫島ハウスの騒動」は、登場人物も多く被っているので、先に読んでおいたほうがベターかもしれません。
主役の警察猫(?)「DC」と「七瀬晃(ななせあきら:男です)」巡査は、前作に引き続いての登場となります。とりわけポリス猫は前回から存在感を発揮しまくっていましたので、再び猫島を舞台とするのであれば主役抜擢も当然というところでしょうか。
前作ヒロインの「杉浦響子(すぎうらきょうこ)」をはじめ、おなじみ他の住人達もしっかりちゃっかり登場しています。しかし、海水浴と猫だけが売りだったはずの猫島ですが、観光地としてのほほんとレベルアップしていっている感じです。資本主義何それ?的な雰囲気は全く変わりませんが。
短編7本にプロローグ + エピローグの構成となります。基本猫がらみの事件が中心で、解決のきっかけはDCから。きっかけというか、DCが推理したのを七瀬が汲み取る感じです。でっぷりどっかり貫禄ばっちりのDCもさることながら、頼りなさげな七瀬君もなかなかの推理力を見せてくれています。
ただ、ミステリとしては少し弱いかもしれませんね。一応連作短編形式ですが、最後のオチはちょっとわかりにくかったです。若竹七海さんの毒や切れ味を求める向きには肩透かしなところもあるかもしれませんが、猫島の緩々な雰囲気に浸るのが本書の正しい楽しみ方ではないかと個人的には思います。
評価:★★★☆☆
2011年1月27日木曜日
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