2011年1月12日水曜日

空き家課まぼろし譚(ほしおさなえ) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

雰囲気ある海上都市を舞台に、ちょっと頼りない若手職員が上司の娘(小学5年生)と景観保護に奮闘するミステリ短編集です。良いお話でしたが超能力はちょっと蛇足気味かも。もしかして「絶対可憐チルドレン」みたいな年の差カップルものになるんでしょうか?



「日本のベニス」と呼ばれる水上都市「海市(かいし)」が舞台となります。「海市協会」の「空き家課」につとめる2年目職員「間宮明(まみやあきら)」が、なにかにつけ事件に絡んでくる上司の娘「三上汀(みかみみぎわ)」と、空き家保護にまつわる問題解決に挑んでいきます。探偵役は汀です。

この汀ちゃん、第1話にて写真の状況を再現できる超能力を持つことが判明します。しかし、ちょっと微妙な能力ですね。そもそもベースの話が結構いい雰囲気を出しているだけに、このイロモノ設定が浮いているように私には感じられてしまいました。

ただ、その能力が謎解きにそれほど活躍していないあたり、ある程度筆者の計算が入っているのでしょうか。汀の推理力自体は超能力とは全く関係ない、本人の頭の回転によるものです。最終話ではこの能力に関する由来らしきエピソードも出てくるため、「How」でなく「What」な要素なのかもしれません。

明の上司で汀の父親「三上敦(あつし)」、同僚のミステリオタク「友坂修平(ともさかしゅうへい)」、汀の親友「菅谷栞(すがやしおり)」など、登場人物はみなキャラの立ったいい味を出しています。脇キャラの良い作品に外れ無しです。

ただ、汀のライバルで何かとぶつかることが多いらしい同級生「森山理瀬(もりやまりせ)」。東京でモデルも勤め、取り巻きも多いハイスペックなのだそうですが、本巻では一度も台詞付きの登場をしていません。いかにもツンデレっぽいクリティカルな立ち居地のはずなのに・・・この焦らしっぷり、素晴らしいです(笑)

汀が最終話で小学6年生に進級しているということは、時間遷移のある成長ストーリーと言うことになるのでしょうか。なんだか最終話ではフラグらしきものが立ってるように見えたんですが・・・というわけで、続編とても楽しみにしています\(^-^)/

評価:★★★☆☆

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