話の展開的にどう落とすのかと思っていましたが、見事な収束でした。筆者はカタルシスというもののツボを知り尽くしてますね。序盤早々から涙腺ゆるみ気味になってしまいました。
クライマックスとして見た場合、「追憶」のわかりやすい決戦と比べて、若干変化球気味なところはあるかもしれません。その点では物足りなさも感じなくはないですが、達成感というか納得感の演出については文句なしだったと思います。
立派に成長したカルエルが、それでもヘタレ入ったままなのは良かったです。完璧超人なんて彼の柄じゃありません。ただ、せっかく飛空士として成長した割りには、本巻ではそちら方面の活躍が控えめだったのが残念といえば残念。
本シリーズでは三角関係も主要な軸の一つだったかと思いますが、それがあまりドロドロしたものにならなかったのも良かったです。特にアリエルは最後までいかにも彼女らしくて、その心根には胸を打たれます。人気投票があれば文句なくNo1でしょうねー。
長期間の遠征帰りということで、帰還の演出は「指輪物語」を髣髴とさせます。文庫で全5巻というのは、長いとも短いともいえない微妙な長さですが、ライトノベルとしてみれば絶妙のバランスだったといえるかもしれません。
後書きがありませんでしたけど、また続きは出るんでしょうか。世界観の概要はわかりましたが、正直なところこのままでは「だから何?」というものでしかありません。色々含みも残っているようなので、続編には是非期待したいです。今度はどのような空戦が待っているのか、今から楽しみです。
評価:★★★★☆
2011年1月20日木曜日
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