若い男女9人の幼馴染による、連作短編形式の恋愛物語。もちろんお江戸が舞台です。人間関係の把握が面倒そうかと思いきや、実にわかりやすくそれぞれのキャラが立っています。まぁ、二人は死んでますけれど。一人は幽霊ですけれど。
良くも悪くもわかりやすい文体が筆者の作品の特徴です。時代小説でありながら古臭さを一切感じさせず、それでいて江戸の情緒はしっかり表現しきっているのが相変わらず素晴らしいです。ミステリ要素もしっかり盛り込まれています。
基本的に難解な文章をありがたがる風潮は好きではないので、本書のような作品は大好物の部類なのですけれど、いい歳したおじさんにはさすがに題材的にちょっとしんどいところが無くもありません。やはり一番のターゲットは若い女性となるでしょう。
畠中さんの作品全般を通していえますが、どうも恋愛関係について一筋縄では収まらない傾向がありますね。恋愛小説ってのがそもそもそういうものなのかもしれませんが。本書もちょっとほろ苦い後味を残します。
今回はしんみりした叙情よりも遣りきれない切なさのほうが強く残りました。私的には色々しんどいなと感じるところもありましたが、要は真っ当すぎるほどに真っ当な恋愛小説だということです。畠中さんの小説が好きな人には文句なく楽しめるのではないかと思います。
評価:★★☆☆☆
2010年8月18日水曜日
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