2010年9月18日土曜日

ローマ人の物語〈25〉賢帝の世紀〈中〉(塩野七生) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

五賢帝の3人目、トライアヌスと並びローマ歴代でも最も重要な皇帝の一人であるハドリアヌスの登場となります。漫画「テルマエ・ロマエ」で登場するのがこの人です。時代背景が分かると、あちらの漫画もより楽しめるかもしれません。



トライアヌスが完璧すぎるのと比べると、ハドリアヌスはお茶目なところがあってよいですね。ギリシア文化に傾倒したり、結構エゴイスティックだったり。でも、この人の凄いところは公私をしっかり区別できることです。トライアヌスと同様に、属州出身でありながら、いかにもローマ人らしい責任感の強さを身に備えているのが面白いところです。

即位時はちょっと血生臭いことやってます。トライアヌス時代の口うるさい忠臣4人を粛清。結構ローマの時代はやるかやられるかというところもありますので、やむをえないところはあったのかと思いますが、その悪評を返上するのにはかなり苦労することになったようです。

トライアヌスとハドリアヌスに共通するのは軍事のプロフェッショナルであることです。ダキア戦役やパルティア遠征などを華々しく成功させた先帝ほどには目立ちにくくても、ローマの国防という観点からはそれ以上に重要だったと思われることをハドリアヌスは実行しています。それが辺境軍事の再編成です。

旅する皇帝ハドリアヌス。全21年間の治世のうち3分の2にあたる14年間を、ローマの外で過ごしたといいます。実際に軍事の最前線を視察し、状況に応じた体制を固めていったのはもちろん必要に応じてのことだったのでしょうけれど、それ以上にローマの外を歩き回り、軍団兵と寝食を共にする生活が彼の気質にあっていたということあるのでしょう。

人間嫌いの皇帝ということで、「テルマエ・ロマエ」に登場するのをティベリウスと勘違いしていたのですけれど、彼の男色好みが噂に過ぎなかったのに対し、ハドリアヌスのほうは真性だったようです。彼の負の側面については、下巻にて語られることになるかと思います。

評価:★★★☆☆

関連レビュー:
『テルマエ・ロマエ1』(ヤマザキマリ)

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