2010年9月1日水曜日

アリスへの決別(山本弘) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

短編集ですが、最初の2本があわなくてどうしようかと思いました。後半は結構楽しめましたが。現代社会の欺瞞をシニカルに描くというのが、ちょっと鼻についた感じ。



以下、各話の感想です。

■アリスへの決別
幼女のヌードモデルとか出てきますが、そんなにエロイということもありません。うぶモードというロリコン雑誌掲載作品だそうです。どんでん返しも待っていたりして、完成度は高い話しかと思いますが、作品のテイストがあまり好きになれませんでした。

■リトルガールふたたび
うーん、どこを楽しめばよいのかわからない作品でした。作品の下敷きとして「リトル・ボーイ再び」というのがあって、そちらの文脈が分かっていないと楽しめないのかも。内輪受けという印象の作品。

■七歩跳んだ男
この作品は本書で一番面白かったかも。月基地でゲストが不可解な死をとげ、その真相に迫るミステリ仕立てとなっています。真相自体は結構ばかばかしい感じもしましたが、月旅行が実現したらこういう人も出てくるかもなぁとも思いました。

■地獄はここに
霊能者を主人公としたオカルトホラー。普通に結構怖いです。後からよく考えてみると、SFではないのかも。超常現象より人間のほうがよっぽど怖い。

■地球から来た男
宇宙船密航者の目的は?というお話ですが、SF設定が散らばっているため独特の雰囲気をかもし出しています。「地球移動作戦」の34年後の世界が舞台だそうです。

■オルダーセンの世界
閉鎖的な世界の真相が徐々に明かされていく、ストレートにSFっぽい作品。謎の少女シーフロスは次の作品でも出てきます。

■夢幻潜航艇
量子論的設定とでも言えばいいのでしょうか。現在と過去の境目もなく、思ったことがそのままリアルとなる世界。前作でも登場したシーフロスの正体が明かされます。

ラスト2編の世界観に感心しました。これぞSFを読む醍醐味という感じです。1,2話目があまりに私には会わなかったので、順番変えてくれたらもう少し評価できたかも。

評価:★★☆☆☆

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