今回のテーマはダ・ヴィンチのモナ・リザです。ちょっといつもと違った展開の裏には、相変わらずのぶっとんだ仕掛けが隠されています。初めて小笠原君を格好良いと思ったかも。
モナ・リザという超メジャーな題材なので、専門的には色々あるのかもしれませんが、素人の私としては大変楽しめました。それにしても相変わらずの薀蓄量ですが、どこまで信じてよいのか毎回微妙に悩まされたり。
いつものシリーズとはちょっと変わった展開がとても良かったですね。いくらなんでも胡散臭すぎるなあと感じていたところも実は伏線だったり、ミステリとしてかなり良い感じの仕掛けだったと思います。
正直なところ、シリーズ開始当初は結構メインキャラのイメージにぶれが感じられるというか、ファジーな設定を筆者の力量で強引にごまかしているというところが無きにしも非ずという印象でした。
それが巻を重ねるにつれて、徐々に個性がはっきりしてきたように感じられます。特に今回は小笠原君がいい働きをしていましたね。彼の性格って、キャラ絵のイメージに引っ張られてるんじゃないかという気もするんですが(^^;
巻末の予告によると、次回は20歳時の莉子の過去話となるようです。あいかわらず二ヶ月に1冊の驚異的な刊行ペース。どこまで続くのでしょうかね。凄いなぁ・・・
評価:★★★★☆
2011年4月26日火曜日
2011年4月25日月曜日
研修医純情物語 - 先生と呼ばないで(川渕圭一)
30歳で医学部に入学しなおし、37歳で研修医となった筆者の自伝的小説です。医療現場の実態など勉強になるところもありますが、なにより読み物として面白いです。それだけ筆者の経験が面白いものだったということなのでしょう。
フィクションと現実半々といったところでしょうか。30代にして医者を志した筆者の動機については実際に読んでいただくとして、本書のみどころはやはり「年増の新人研修医」という存在の特異さにあるかと思います。
といっても、年配であることからくるハンデといったものはそれほど感じさせません。体力がないとか就職先がないとか色々自虐的なことは書かれていますが、あまり悲壮感漂うものでもありませんし。
本書の特徴を決定付けているのは、筆者の「大人の余裕」ではないかと思います。医療現場の不合理さを語るにもどこか一歩引いたようなスタンスのため、なんとなく客観性を感じさせて、すんなりと腑に落ちる気がするのです。
川渕氏のプロフィールを検索してみたところ、本文中の京都の大学は京都大学で、東京の大学は東京大学のことのようです。ぼかして書いてあるのはなぜなのでしょうか。嫌味な印象を避けるためかもしれませんね。
本書は筆者の実体験をもとにした複数のエピソードから構成されていますが、これがエッセイでなくちゃんと面白い小説になっている点こそ、私がもっとも評価したいところです。
医療の現場を知るという意味で、医学部志望の方や入院患者の関係者の方などにも本作品は貴重だと思いますが、単に面白い本が読みたいという向きにも自信を持ってお勧めできる一冊かと思います。
評価:★★★☆☆
フィクションと現実半々といったところでしょうか。30代にして医者を志した筆者の動機については実際に読んでいただくとして、本書のみどころはやはり「年増の新人研修医」という存在の特異さにあるかと思います。
といっても、年配であることからくるハンデといったものはそれほど感じさせません。体力がないとか就職先がないとか色々自虐的なことは書かれていますが、あまり悲壮感漂うものでもありませんし。
本書の特徴を決定付けているのは、筆者の「大人の余裕」ではないかと思います。医療現場の不合理さを語るにもどこか一歩引いたようなスタンスのため、なんとなく客観性を感じさせて、すんなりと腑に落ちる気がするのです。
川渕氏のプロフィールを検索してみたところ、本文中の京都の大学は京都大学で、東京の大学は東京大学のことのようです。ぼかして書いてあるのはなぜなのでしょうか。嫌味な印象を避けるためかもしれませんね。
本書は筆者の実体験をもとにした複数のエピソードから構成されていますが、これがエッセイでなくちゃんと面白い小説になっている点こそ、私がもっとも評価したいところです。
医療の現場を知るという意味で、医学部志望の方や入院患者の関係者の方などにも本作品は貴重だと思いますが、単に面白い本が読みたいという向きにも自信を持ってお勧めできる一冊かと思います。
評価:★★★☆☆
2011年4月23日土曜日
香菜里屋を知っていますか(北森鴻)
ビアバー香菜里屋を舞台にしたミステリ短編集第4弾にして、シリーズ最終作です。ラストに相応しい常連達のエピソードが綴られていき、鳥肌が立ちそうなフィナーレになるかと思いましたが、肝心の最終話だけはあまり好みに合わなかったかもしれません・・・
「花の下にて春死なむ」から始まる本シリーズは、特に愛着を持っておられるファンも多いのではないかと思います。なんといっても香菜里屋のマスター「工藤」による料理メニューの数々が素晴らしい。
私が北森作品のなかで一番好きなのは「メイン・ディッシュ」なのですが、こちらも料理を主題にしたもの。なんとなく料理の薀蓄が語られるだけでテンションが上がるといいますか、そういうところが私のつぼみたいです。
シリーズの完結として位置づけられる本書ですが、各エピソードの内容も最終巻に相応しいものとなっています。とりわけ私が印象に残ったのは2話目の「プレジール」。ああ、あの人が・・・と感慨が溢れるようでした。
そして、ラスト直前の第4話では「香菜里屋」という店名の由来も明かされ、非常に盛り上がる気持ちで第5話を向かえたのですが・・・うーん、この最終話はちょっと私には合わなかったです。
ネタバレになりそうなので一応反転で。
私は「蓮杖那智」シリーズも「冬狐堂」シリーズも大好きなのですけれど、二人がコラボする作品は少々苦手なのです。ちょっときつめのスーパーウーマン二人が、お互いに認め合ってる風なのがなんとなく胡散臭く感じられて・・・
で、この最終話は二人ともが登場、というよりゲストで無くメインを掻っ攫ってしまっているのがとても受け入れがたかったのです。工藤が不在という状況はまだよいにしても、せめて香月なり常連達なりによる解決をみせてほしかったかなと。
上記の理由から、個人的には少し残念な感じのする終幕でしたが、同じ理由から本書が好きと感じられる方もたくさんおられるでしょうね。なにしろ北森ファンとしては出し惜しみの無い、オールキャストの展開ですから。
ネタバレ終わり
ちなみに本書には未完の「双獣記」という作品があわせて収録されていますが、こちらのほうは私は読んでいません。熱心なファンであれば読むべきなのでしょうけれど、なんだか切なくなってしまいそうなので。
最終巻としては若干の不満を感じたところもありますが、その不満も愛着故ということで、シリーズ全体を通してみれば非常に質の高い読書体験を提供していただけたと思っています。筆者には感謝の念に堪えません。
北森作品の読み残しも本書で最後になるでしょうか。さびしい限りです。
評価:★★☆☆☆
関連作品:
「花の下にて春死なむ」から始まる本シリーズは、特に愛着を持っておられるファンも多いのではないかと思います。なんといっても香菜里屋のマスター「工藤」による料理メニューの数々が素晴らしい。
私が北森作品のなかで一番好きなのは「メイン・ディッシュ」なのですが、こちらも料理を主題にしたもの。なんとなく料理の薀蓄が語られるだけでテンションが上がるといいますか、そういうところが私のつぼみたいです。
シリーズの完結として位置づけられる本書ですが、各エピソードの内容も最終巻に相応しいものとなっています。とりわけ私が印象に残ったのは2話目の「プレジール」。ああ、あの人が・・・と感慨が溢れるようでした。
そして、ラスト直前の第4話では「香菜里屋」という店名の由来も明かされ、非常に盛り上がる気持ちで第5話を向かえたのですが・・・うーん、この最終話はちょっと私には合わなかったです。
ネタバレになりそうなので一応反転で。
私は「蓮杖那智」シリーズも「冬狐堂」シリーズも大好きなのですけれど、二人がコラボする作品は少々苦手なのです。ちょっときつめのスーパーウーマン二人が、お互いに認め合ってる風なのがなんとなく胡散臭く感じられて・・・
で、この最終話は二人ともが登場、というよりゲストで無くメインを掻っ攫ってしまっているのがとても受け入れがたかったのです。工藤が不在という状況はまだよいにしても、せめて香月なり常連達なりによる解決をみせてほしかったかなと。
上記の理由から、個人的には少し残念な感じのする終幕でしたが、同じ理由から本書が好きと感じられる方もたくさんおられるでしょうね。なにしろ北森ファンとしては出し惜しみの無い、オールキャストの展開ですから。
ネタバレ終わり
ちなみに本書には未完の「双獣記」という作品があわせて収録されていますが、こちらのほうは私は読んでいません。熱心なファンであれば読むべきなのでしょうけれど、なんだか切なくなってしまいそうなので。
最終巻としては若干の不満を感じたところもありますが、その不満も愛着故ということで、シリーズ全体を通してみれば非常に質の高い読書体験を提供していただけたと思っています。筆者には感謝の念に堪えません。
北森作品の読み残しも本書で最後になるでしょうか。さびしい限りです。
評価:★★☆☆☆
関連作品:
2011年4月21日木曜日
サクラコ・アトミカ(犬村小六)
泣かせる話でくるのかと思っていましたが、どちらかというとトリッキーな構成で、むしろミステリファンが喜びそうな作品といえるかもしれません。設定一発に見事にしてやられました。
世界一の美少女とたたえられる阿岐ヶ原王家の「サクラコ」内親王。その美しさに目をつけた悪の科学者「ディドル・オルガ」は、原子力兵器の原動力としてサクラコを誘拐します。
ちょっと聞いただけでは訳が分からないと思いますが、要するにサクラコの美しさを原子力エネルギーに変換しようということです。生粋のSF読みには耐えられなさそうなアバウト設定ですが、これが本書のテイストだと思ってください。
童話のような世界観だと思ってもらうとしっくりくるでしょうか。ただ、恋仲になる最強の牢番「ナギ」とサクラコのベロチューとかもあったりして、あまり子供に勧められるものではないかもしれません。
「とある飛空士への追憶」のようなぐっと情緒に訴えるところはありませんが、なかなか凝った仕掛けも施されているので、ミステリテイストが好きな方にはかなりはまるのではないかと思います。
初の星海社FICTIONS作品。紙質が同レーベルの売りになっているようですが、ペラペラで安っぽい感じがして、個人的にはあまり好きではありません。ただ、本書に関しては片山若子さんによるオールカラーの美麗イラストが実に良い感じです。
深窓の令嬢というよりやんちゃな感じのサクラコのキャラは良かったのですが、なぜか感情移入はしにくかった気がします。ストーリー自体には十分満足させてもらいましたが、キャラ萌えも泣かせもないので、筆者の過去の作品が好きな方には、もしかしたら評価が分かれるかもしれません。
評価:★★★☆☆
サクラコの美しさが世界を滅ぼす。
世界一の美少女とたたえられる阿岐ヶ原王家の「サクラコ」内親王。その美しさに目をつけた悪の科学者「ディドル・オルガ」は、原子力兵器の原動力としてサクラコを誘拐します。
ちょっと聞いただけでは訳が分からないと思いますが、要するにサクラコの美しさを原子力エネルギーに変換しようということです。生粋のSF読みには耐えられなさそうなアバウト設定ですが、これが本書のテイストだと思ってください。
童話のような世界観だと思ってもらうとしっくりくるでしょうか。ただ、恋仲になる最強の牢番「ナギ」とサクラコのベロチューとかもあったりして、あまり子供に勧められるものではないかもしれません。
「とある飛空士への追憶」のようなぐっと情緒に訴えるところはありませんが、なかなか凝った仕掛けも施されているので、ミステリテイストが好きな方にはかなりはまるのではないかと思います。
初の星海社FICTIONS作品。紙質が同レーベルの売りになっているようですが、ペラペラで安っぽい感じがして、個人的にはあまり好きではありません。ただ、本書に関しては片山若子さんによるオールカラーの美麗イラストが実に良い感じです。
深窓の令嬢というよりやんちゃな感じのサクラコのキャラは良かったのですが、なぜか感情移入はしにくかった気がします。ストーリー自体には十分満足させてもらいましたが、キャラ萌えも泣かせもないので、筆者の過去の作品が好きな方には、もしかしたら評価が分かれるかもしれません。
評価:★★★☆☆
2011年4月20日水曜日
大聖堂(ケン・フォレット)
十二世紀のイングランドを舞台にした歴史大河小説。史実がたくさんちりばめられているにもかかわらず、学問的な堅苦しさは全くありません。興奮感溢れる良質なエンターテインメントとなっています。
タイトルが「大聖堂」となっていて、実際に大聖堂の建築は話の重要な位置を占めるのですが、それだけを軸にストーリーが進むわけではありません。
ノルマンディー朝の後継者争いが泥沼化することにより、無政府状態に突入した時代を扱っています。そんな混乱の中、王権争い、シャーリング伯爵位を巡る陰謀、教会内における権力闘争などが平行して展開していきます。
純粋な歴史ものを期待すると、少々期待はずれに終わるかもしれません。Wikipediaによると、登場人物の大部分はフィクションですし、セックス描写もかなり激しかったりで、かなりエンターテインメント色の強い構成となっています。
3冊1800ページにおよぶ大著であるにもかかわらず、伏線の張り方とその改修の仕方は見事といわざるを得ません。冒頭で提示された謎が明らかになるのは最後の最後。50年を超えるスケールの壮大な物語となっています。
以下ネタバレ感想につき、既読の方のみ反転してください。
前半の主人公「トム・ビルダー」が格好良すぎますね。その彼がまさか死んでしまうとは思いませんでした。トムとくらべると、後を継いだ義理の息子「ジャック」は、若干主人公としての魅力に劣るような気はします。ただ、そこを「アリエナ」とのセットで補うというのも、実にお見事な手際です。
アリエナは、あんな薄幸のヒロインでありながら驚くほど感情移入しにくいキャラクターでした。きつい性格はともかく、毛深いとか乳がでかすぎるとか、ひどい描写ばかりです。こういう生々しいところを受け入れられるかどうかで、本書への評価も大きく変わってきそうに思います。
ネタバレ終わり。
トムと並ぶもう一人の主人公「フィリップ」。「ローマ人の物語」でネガキャンされていたりした影響もあって、キリスト教に対する印象は個人的にあまり良いものではないのですが、フィリップのような聖職者特有の潔癖さというのは、実に美しいです。キリスト教のこういう側面は結構好きかもしれません。
唯一不満なのはマーサの不遇っぷり。義理の兄であるジャックを慕っていたのだから、アリエナとひと悶着あってもよさそうなのに、子供の世話まで喜んで引き受けたりして。
いったい彼女は何のために出てきたのかと思わずにいられませんでしたが、どうやら続編では彼女の子孫も出てくるとのこと。独り身のままではなかったようなので安心しました。もしかして、私と同じような不満を持った人から抗議でもあったのでしょうか。
歴史を扱っているにも関わらず非常にエンターテインメイント色が強いため、好みの分かれるところはあるかもしれません。私としては、ご都合主義に過ぎる展開も含めてとても楽しめました。
ただあまりに分厚いので、続巻に手を出すかどうかは今のところちょっと微妙です。面白かったけど疲れました。その分、読了後の達成感もひとしおなのですけれどね。
評価:★★★★☆
タイトルが「大聖堂」となっていて、実際に大聖堂の建築は話の重要な位置を占めるのですが、それだけを軸にストーリーが進むわけではありません。
ノルマンディー朝の後継者争いが泥沼化することにより、無政府状態に突入した時代を扱っています。そんな混乱の中、王権争い、シャーリング伯爵位を巡る陰謀、教会内における権力闘争などが平行して展開していきます。
純粋な歴史ものを期待すると、少々期待はずれに終わるかもしれません。Wikipediaによると、登場人物の大部分はフィクションですし、セックス描写もかなり激しかったりで、かなりエンターテインメント色の強い構成となっています。
3冊1800ページにおよぶ大著であるにもかかわらず、伏線の張り方とその改修の仕方は見事といわざるを得ません。冒頭で提示された謎が明らかになるのは最後の最後。50年を超えるスケールの壮大な物語となっています。
以下ネタバレ感想につき、既読の方のみ反転してください。
前半の主人公「トム・ビルダー」が格好良すぎますね。その彼がまさか死んでしまうとは思いませんでした。トムとくらべると、後を継いだ義理の息子「ジャック」は、若干主人公としての魅力に劣るような気はします。ただ、そこを「アリエナ」とのセットで補うというのも、実にお見事な手際です。
アリエナは、あんな薄幸のヒロインでありながら驚くほど感情移入しにくいキャラクターでした。きつい性格はともかく、毛深いとか乳がでかすぎるとか、ひどい描写ばかりです。こういう生々しいところを受け入れられるかどうかで、本書への評価も大きく変わってきそうに思います。
ネタバレ終わり。
トムと並ぶもう一人の主人公「フィリップ」。「ローマ人の物語」でネガキャンされていたりした影響もあって、キリスト教に対する印象は個人的にあまり良いものではないのですが、フィリップのような聖職者特有の潔癖さというのは、実に美しいです。キリスト教のこういう側面は結構好きかもしれません。
唯一不満なのはマーサの不遇っぷり。義理の兄であるジャックを慕っていたのだから、アリエナとひと悶着あってもよさそうなのに、子供の世話まで喜んで引き受けたりして。
いったい彼女は何のために出てきたのかと思わずにいられませんでしたが、どうやら続編では彼女の子孫も出てくるとのこと。独り身のままではなかったようなので安心しました。もしかして、私と同じような不満を持った人から抗議でもあったのでしょうか。
歴史を扱っているにも関わらず非常にエンターテインメイント色が強いため、好みの分かれるところはあるかもしれません。私としては、ご都合主義に過ぎる展開も含めてとても楽しめました。
ただあまりに分厚いので、続巻に手を出すかどうかは今のところちょっと微妙です。面白かったけど疲れました。その分、読了後の達成感もひとしおなのですけれどね。
評価:★★★★☆
おざなりダンジョンTACTICS 2(こやま基夫)
ファルコとトビ・アズサ登場。しかも赤ん坊つき。しかし本巻で一番のみどころは、最終話におけるあの人の登場でしょう。「バンデット・カフェ」の背景もちらっと明かされる、シリーズ第2弾です。
新規読者への配慮がかなり行き届いたストーリー展開になってる気がします。新キャラも多いですし、とりあえず敵味方の区別は明瞭なので、旧作を読んでいない方でも素直に楽しめるのではないかと思います。
しかし、ファルコ登場によるテンションの高まりを存分に感じるには、やはり旧作を読んでおいたほうがベターでしょうね。過去作品の展開については、1巻のレビューをご参考ください。
それにしても、相変わらずファルコは格好いいのに格好悪いですねー(笑)。トビ・アズサはすっかりお母さんというかおばちゃんになってしまいましたが、もともとの性格的にこのおばちゃんキャラは違和感全くありませんね。
モカが率いるバンデット・カフェおよび前巻で仄めかされていた「ヨナの遺産」の正体が本巻で明らかになります。謎を引っ張るミステリ的手法は相変わらずお見事。それにしてもあの人の登場は・・・当然ありうる展開なのに、全く予想できませんでした。悔しい!
以下ネタバレ感想につき、既読の方のみ反転してお読みください。
いやー、まさかヨナがアストラルになっているとは、完璧に一本取られました。前巻でエルザに問い詰められたときのモカの曖昧な態度もなるほど納得です。申し訳ないけど、ファルコ登場のインパクトがすっかり吹っ飛んでしまいました。
それにしても、今回のテーマは指導者としてのモカの成長なのですね。そこが「TACTICS」ということなのですか。旧作を知る立場としては、斬新な切り口で実に面白いです。いよいよ本格的にヨナの後継者という感じですねー
ネタバレ終わり。
大陸間戦争のきっかけやナーガシールドなど、まだまだ明かされていない伏線もたっぷりありそうなので、今後がますます楽しみです。とりわけ私としてはてるてる坊主白のマスターの登場が楽しみですが、奥さんとのからみを考えると、登場は大分先になりそうですかね・・・
評価:★★★☆☆
関連レビュー:
おざなりダンジョンTACTICS 1(こやま基夫)
新規読者への配慮がかなり行き届いたストーリー展開になってる気がします。新キャラも多いですし、とりあえず敵味方の区別は明瞭なので、旧作を読んでいない方でも素直に楽しめるのではないかと思います。
しかし、ファルコ登場によるテンションの高まりを存分に感じるには、やはり旧作を読んでおいたほうがベターでしょうね。過去作品の展開については、1巻のレビューをご参考ください。
それにしても、相変わらずファルコは格好いいのに格好悪いですねー(笑)。トビ・アズサはすっかりお母さんというかおばちゃんになってしまいましたが、もともとの性格的にこのおばちゃんキャラは違和感全くありませんね。
モカが率いるバンデット・カフェおよび前巻で仄めかされていた「ヨナの遺産」の正体が本巻で明らかになります。謎を引っ張るミステリ的手法は相変わらずお見事。それにしてもあの人の登場は・・・当然ありうる展開なのに、全く予想できませんでした。悔しい!
以下ネタバレ感想につき、既読の方のみ反転してお読みください。
いやー、まさかヨナがアストラルになっているとは、完璧に一本取られました。前巻でエルザに問い詰められたときのモカの曖昧な態度もなるほど納得です。申し訳ないけど、ファルコ登場のインパクトがすっかり吹っ飛んでしまいました。
それにしても、今回のテーマは指導者としてのモカの成長なのですね。そこが「TACTICS」ということなのですか。旧作を知る立場としては、斬新な切り口で実に面白いです。いよいよ本格的にヨナの後継者という感じですねー
ネタバレ終わり。
大陸間戦争のきっかけやナーガシールドなど、まだまだ明かされていない伏線もたっぷりありそうなので、今後がますます楽しみです。とりわけ私としては
評価:★★★☆☆
関連レビュー:
おざなりダンジョンTACTICS 1(こやま基夫)
2011年4月18日月曜日
森崎書店の日々(八木沢里志)
神保町の古書店街でヒロインが失恋の痛手を癒していく表題作およびその続編の2本構成となっています。実に良質な雰囲気小説でありながら、各話ともしっかりストーリーが作りこまれていて、とても私好みな作品でした。
二股かけられていた彼氏に対して何も言えず、会社も辞めて引きこもる「貴子」。実家に戻るか叔父「サトル」の世話になるかの選択を母から迫られて、やむなく興味もない古本屋に居候することとなりますが、一冊の本との出会いにより、彼女を取り巻く風景がガラッと変わっていきます。
とにかく神保町への愛情に溢れる一冊といえるでしょう。本書は「ちよだ文学賞」の大賞受賞作なのだとか。<すぼうる>という名前の喫茶店などが出てくる辺り、にやりとしてしまう人も多いのではないでしょうか。
正直なところ私の読書は新刊本メインなので、あまり古本屋のお世話になることはないのですが、それでも神保町の雰囲気は大好きなので、ちょくちょく足を運んでいます。九段下で降りて靖国で手を合わせて、そのあと古書街をひたひた歩いていくのが、私の休日を過ごす黄金パターンの一つです。
神保町や古書への愛情溢れる雰囲気自体秀逸ですが、私が本書を評価したいのは、ストーリーの起伏がしっかりして、純粋に読み物として楽しめるようになっているところです。雰囲気でごまかしてなんとなく終わってしまうような話があまり好きではないのですが、本書ではその心配は全くありません。
二話目は、家を出て行方知れずとなっていた義理の叔母「桃子」が森崎書店に帰ってくるお話で、こちらもかなり良い感じなのですけれど、一話目でせっかく友達になった「トモちゃん」が出てこなかったのだけは、ちょっぴり残念だった気がします。とても良いキャラだっただけにもったいないなぁと。
全編を通して淡々とした語り口で紡がれていくお話は、決して刺激的とはいえませんが、それがまた話の舞台である神保町にとてもマッチしていたように思います。さほど癖もないのでどなたが読んでも楽しめると思いますが、とりわけ神保町が好きな方には強くお勧めしたい一冊です。
評価:★★★★☆
二股かけられていた彼氏に対して何も言えず、会社も辞めて引きこもる「貴子」。実家に戻るか叔父「サトル」の世話になるかの選択を母から迫られて、やむなく興味もない古本屋に居候することとなりますが、一冊の本との出会いにより、彼女を取り巻く風景がガラッと変わっていきます。
とにかく神保町への愛情に溢れる一冊といえるでしょう。本書は「ちよだ文学賞」の大賞受賞作なのだとか。<すぼうる>という名前の喫茶店などが出てくる辺り、にやりとしてしまう人も多いのではないでしょうか。
正直なところ私の読書は新刊本メインなので、あまり古本屋のお世話になることはないのですが、それでも神保町の雰囲気は大好きなので、ちょくちょく足を運んでいます。九段下で降りて靖国で手を合わせて、そのあと古書街をひたひた歩いていくのが、私の休日を過ごす黄金パターンの一つです。
神保町や古書への愛情溢れる雰囲気自体秀逸ですが、私が本書を評価したいのは、ストーリーの起伏がしっかりして、純粋に読み物として楽しめるようになっているところです。雰囲気でごまかしてなんとなく終わってしまうような話があまり好きではないのですが、本書ではその心配は全くありません。
二話目は、家を出て行方知れずとなっていた義理の叔母「桃子」が森崎書店に帰ってくるお話で、こちらもかなり良い感じなのですけれど、一話目でせっかく友達になった「トモちゃん」が出てこなかったのだけは、ちょっぴり残念だった気がします。とても良いキャラだっただけにもったいないなぁと。
全編を通して淡々とした語り口で紡がれていくお話は、決して刺激的とはいえませんが、それがまた話の舞台である神保町にとてもマッチしていたように思います。さほど癖もないのでどなたが読んでも楽しめると思いますが、とりわけ神保町が好きな方には強くお勧めしたい一冊です。
評価:★★★★☆
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