今回はシリーズ既刊で1,2を争う面白さだったかもしれません。冒頭でいきなり編集者に転職している莉子さん。複数の事件がよどみなく絡んでいき、全く飽きることなく一気に読んでしまいました。それにしても小笠原君は・・・(^^;
編集者といってもいつもの「角川書店」ではなく、最先端を走るバリバリの電子書籍専門会社「ステファニー出版」が舞台となります。莉子のポジションは編集長第二秘書。厳しい要求を突きつける女社長「城ヶ崎七海(じょうがさきななみ)」に完璧な対応を返し、信頼を勝ち取っていきます。
本書で一番美味しいキャラは、第一秘書の「園部遥菜(そのべはるな)」(27歳)です。いわゆる肉食系女子でありながら、時折弱い部分や本音も見せるところなどは、そっち系が好みの人にはたまらんのではないでしょうか。第二秘書として大活躍する莉子に信頼と嫉妬の入り混じった複雑な感情を抱きつつも、友情を育んでいきます。
その遥菜さん、小笠原君とちょっといい感じになったりします。イケイケの企業内部にはいない草食系タイプの彼に一目ぼれ。で、小笠原君のほうも満更ではなかったりと・・・君、莉子さんに気があるんじゃなかったの?まあ、要するにいつも通りのヘタレっぷりです(笑)
今回はミステリネタ自体が気前良く大放出ですね。校正にあたって発揮される莉子の観察眼はいつものこととして、偽の「金の延べ棒」事件や「五億円ペンダント」消失事件など、古典的な香りのする本格トリックも十分堪能できる贅沢な作りとなっています。
それにしても、もう第七弾ですか。隔月の刊行ペースでこれだけのクオリティを出せるのはさすがといわざるを得ません。どうしても「軽さ」は感じられてしまうのですけれど、それが「軽快」な読み味として逆に長所となっているようにも思えます。商業主義も開き直られるとなかなか痛快です(笑)
評価:★★★★☆
2010年12月27日月曜日
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