苦悩にあえぐ美少女が好きな方にお勧め。名探偵というより迷探偵じゃないのかなんて思っていたらとんでもなかったです。レトロな舞台装置によるトリッキーな仕掛け。麻耶氏の作品を読むのは10年ぶりくらいですが、いかにも筆者らしいなあと懐かしく感じました。
物語は1985年と2003年の二部構成となります。どちらも主人公は「御陵(みささぎ)みかげ」と「種田静馬(たねだしずま)」のコンビですが、15年を隔ててどのようなシチュエーションになるかは、実際に読んでみてのお楽しみです。
母の名を継ぎ「名探偵」を目指すみかげと、複雑な家庭事情により自殺願望を持つ静馬の出会いは、ちょっとしたボーイミーツガールです。ただし、当然のように甘酸っぱいばかりの展開にはなりません。
名探偵が全然役に立たない、というよりむしろ災厄を呼び起こしているように感じられるのは、筆者が意識的にそう描いているからだと思います。なんだか露骨過ぎる気もしましたが、最後の解決編をよんでそのあたりは納得できました。
後味の良い作品と言えるかどうかは微妙なところです。美少女の笑顔で締めくくられるとなれば普通は大団円としたものですが、そこに妙な落ち着かなさを感じさせるのも流石といって良いのかどうか(^^;
大筋のトリックや話の流れについては文句ないのですが、細かいところの描写で若干の齟齬を感じるのは、単に私の読みが浅いためでしょうか。なんだか色々無理があるような気はしたのですが、そもそも仕掛け重視のミステリでそのあたりを突っ込むのが無粋なのかもしれません。
美少女探偵としてのみかげのキャラクターには文句なしです。是非続編が読みたいですね。クールなツンデレ探偵をもっと読みたくて仕方ないという方のため、以下の作品も紹介しておきます。
第2部ではデレ気味のみかげよりも、「斎宮瞑」のほうがツンデレ度では勝ってると思いますよ(笑)
評価:★★★★☆
2010年12月10日金曜日
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