裏書には
彼とねじまき少女エミコとの出会いは、世界の運命を大きく変えていった。
とありますが、少し不親切な内容紹介といえるかもしれません。最後のほうまでどこに話が落ちるのか全然わからなかったのですが、なるほどこう来るのかと思わず唸ってしまいました。
もちろん本作自体で完結した話ではあるのですが、同一世界観による中編作品がすでにいくつかあるとのこと。正直、「カロリーマン」などのわけのわからない単語がかなり出てくるので、できれば先にそちらを読みたかった気もします。
「アンダースン」や「エミコ」だけでなく、様々な人物の視点が入れ替わり立ち代り物語を紡ぎあげていきます。なかでも一番わかりやすく格好良かった「ジェイディー」がもっともお気に入りなキャラだったのですが、彼の下巻での扱いはいったいどうなっているのでしょう。わけわかりません(^^;
とにかく勧善懲悪とは程遠い暗黒(ノワール)展開が続きます。甘い話を期待して本書を読むのはやめたほうが良いでしょう。アンダースンとエミコの恋話的なものをちょっぴり期待していた私も、読了後の今となっては苦笑しかでてきません。
ただ、本書の話のオチはSFファンなら絶対好きでしょうね。さほど熱心でないSF読者の私でも、この世界観が今後どのように展開していくのか気になって仕方ありません。とにかく用語もよくわからなくて読み進めるのがしんどい作品ではありましたが、その見返りは十分いただけたものと思います。
評価:★★★★☆
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