2010年5月27日木曜日

『環境保護運動はどこが間違っているのか?』(槌田 敦) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

牛乳パックをリサイクルしている人、原発はエコだと信じている人、温暖化の原因はCO2だと疑っていない人は、一度この本を読んでみましょう。環境運動の裏に潜む自己満足や欺瞞を鋭くあばいてくれる、現代人の必読書です。



この本、もとは1992年に出版されたものです。それが1999年に文庫化し、さらに2007年に新書として再出版されました。大学時代にゼミの先生に勧められて読んで、感銘を受けたことを良く覚えています。今回書店でたまたま見かけて、久しぶりに手に取ってみました。

牛乳パックのリサイクル、ただの自己満足です。再生紙への加工は普通紙を作るよりコストがかかります。コストがかかるというのは設備投資やエネルギーが余分にかかるということ。要するに、地球全体で見ればかえって余計に環境を汚染することになるのです。

設備にも資源やエネルギーが消費されることを忘れてはいけません。原発も単体で見ればクリーンに見えますが、その準備段階で大量の化石燃料を消費します。石油一本の方がはるかに効率的。では、なぜ原子力発電はなくならないのか。それで儲けている人がいるからです。あと、プルトニウム。原発には欺瞞しか存在しません。

二酸化炭素による温暖化、確かにもっともらしく聞こえます。でも、温暖化の何が悪いのか。温暖化で海面は下がりません。空気中に含む水蒸気量が多くなり、それが循環して南極で氷になります。そもそもCO2濃度が上がり始める前からすでに温暖化は始まっていたとするデータもあります。地球の歴史上、温暖化という時期を向かえるのは珍しいことではないと知っておくべきです。

そういえば鳩○イニシアチブとかありました(笑)。いえ、笑い事じゃないですけれどね。

筆者は本書の再発行にあたり内容を吟味した結果、いくつかの注はつけたもののほぼそのままの形で出版することに決めたそうです。つまり状況は20年近くの間ほぼ変わっていないということです。無知と自己満足と欺瞞からくる悪循環。直接に利害が絡む点が見えにくいのが、環境問題の難しいところなのでしょう。

あえて本書の難点をあげれば、やはり事例などが少々古くなっている点です。ただ、要所には注もつけられていますので、安心して読んでいただいて問題ないかと思います。本書の内容は多くの方に知ってもらいたいです。

評価:★★★★☆

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