2010年11月30日火曜日

いっちばん(畠中 恵) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

栄吉の菓子作り修行など個々の話は面白かったですが、今回はいつもにもまして若だんな周辺の動きが少ない感じです。周辺の色事はどんどん動いていく中で、肝心の主人公にはその気配さえなし。よく人気シリーズが成り立っているなと感心してしまいます。



前半が他愛もない話で、後半にかけてちょっと重めのテーマを持ってくるのが本シリーズのパターンですが、今回は若だんな本人の話が直接には絡んでこなかったので、ちょっと控えめな印象があるかもしれません。以下、各話の感想です。

■ いっちばん
妖たちが若だんなへの贈り物で競う一方、またしても日限(ひぎり)の親分に難題がもちかかります。いつもどおりの、なんということもない定番話ですが、こういう話がないと「しゃばけ」シリーズを読んでる気になりません。

■ いっぷく
新興の唐物屋2軒から勝負を挑まれる長崎屋。しかし、そのうち一軒のほうには、若だんなを知る人物がいるようで・・・。過去の登場人物が再登場という形ですが、あまり印象に残ってなかった人なのでちょっと微妙だったかも・・・(^^;

■ 天狗の使い魔
気がつくと夜空を飛んでいる若だんな。脅迫のネタとして天狗にさらわれてしまったのですが、事情をきいて大事にしたくないと思った若だんなが一計を案じます。本書で一番気に入ったお話し。

■ 餡子は甘いか
栄吉の菓子作り修行編。それにしても、彼の才能についてはとことん酷い書かれようです。後継ぎとして、菓子作りは誰かに任せて経営に専念すればよいのにと誰もが思ってしまいそうですが、それでも頑張る姿は健気です。ちょっぴり恋の兆しもあったりなかったり。

■ ひなのちよがみ
分厚い白粉の塗り壁を拭い去り、美人になってしまったお雛さんのお話し。相応な年頃の美人にも関わらず、栄吉の妹以上に若だんなとは何事もおこらなさそうです。オチのあたりは私的にちょっと微妙かもしれません。

こういうシリーズだと分かってはいますが、ほんとうに若だんな周辺は動かないですね。一層そういう目が完全にないとわかれば、潔く見切りも付けられるのですが、筆者の他の作品をみればそうでもなさそうなのがなんとも悩ましいところです。

評価:★★☆☆☆

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