2010年11月3日水曜日

舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵(歌野晶午) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

本作は女子中学生3人組+舞田ひとみの4人組が活躍します。全編を通したひっかけがない点は若干物足りなかったですが、その分、一話ごとの重みが増しているようにも感じます。

前作のレビューはこちら



前作が叔父の刑事「舞田歳三」視点だったのに対し、今回は「高梨愛美璃(たかなしえみり)」、「織本凪沙(おりもとなぎさ)」、「萩原夏鈴(はぎわらかりん)」の女子中学生3人組が主人公となります。

真のヒロインであるはずの「舞田ひとみ」は、3人組とは違う学校でエミリと小学生時代の同級生という設定。ひとみの生活をはっきりと明かさないブラックボックス手法は前作と共通するところです。

ひとみは一見したところ相変わらず暢気そうですが、学校、成績、家族関係などにまつわる、思春期らしいちょっぴり苦い思いもチラつかせます。それをエミリ視点から語っているため、色々と想像力が喚起されてくるのです。

前作と一番の違いはひとみの役回り。前回は三毛猫ホームズのように刑事の叔父にヒントを与えるだけの存在でしたが、本作では正真正銘の名探偵となっています。馬鹿だけど名探偵。いい味出してます。

今回は連作短編というより普通の短編集ですね。最終話、どんな技が仕掛けが仕掛けられているかと身構えましたが、全編を通したひっかけは特にありません。若干肩透かし気味ですが、ひとみの成長物語としてはなかなかぐっと来る作品集だったと思います。

評価:★★★☆☆

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