2010年11月6日土曜日

アクロイド殺し(アガサ・クリスティー) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

ネタバレ食らっていたのでずっと読んでませんでした。複雑な要素が絡み合っていて、分かってて読んでもかなり面白いですね。それでも、何も知らずに読みたかった一冊だとは思います。



母の蔵書でクリスティは一通り揃っていたのですが、ポアロやミス・マープルがあまり好きではなくて殆ど読んでません。ノンシリーズやトミーとタペンス、クィン氏、パーカーパインといったところは一通りさらったのですが。子供ながらに渋い読み方をしていました。

この歳になってポアロの良さが分かってきたような気がします。いけ好かないオッサンが嫌いだったのですが、いけ好かないオッサンだからこそ味になるという大人読み。

ネタはわかってても一応古典は抑えておこうかと思い手にとって見ましたが、流石はクリスティですね。事件の構造がリニアではないので、ミステリとしても十分楽しむ余地が残されていました。

何より、犯人を知った上で読んでみると、ポアロの底意地の悪さが一層引き立ちます。この犯人も相当切れ者なはずですが、結局は全てを見通された上で泳がされていた格好です。

この本の出版当時、アンフェア論争があったというのは時代を感じさせます。今ならこの分野は定番の一つ。タブーに挑み道を切り開くクリスティの凄みを改めて思い知らされます。

ポアロ物、面白いですね。オリエント急行やABCなどの定番だけ抑えておこうかと思っていたのですが、なんだか一から順番に読んでみたくなりました。でも、30冊以上になりますし・・・悩ましいところです。

評価:★★★★★

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