2011年2月13日日曜日

シンメトリー(誉田哲也) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

警部補「姫川玲子」シリーズ第三弾。今回は短編集となっています。派手な事件は少ないですが、ちょっとひと味の利かせ方が抜群の冴えを見せています。非常に満足度の高い一冊です。



玲子のキャラのおかげで警察小説の割りにとても読みやすい本シリーズですが、本書については読後感しんみりしっとりの、読み応えある構成となっています。以下、各話の感想です。

■ 東京
元上司「小暮利充(こぐれとしみつ)」の墓参りに訪れた玲子は「美代子(みよこ)」という少女を見かけます。ともに訪れた未亡人「景子(けいこ)」に請われ、玲子はある事件について語り始めます。なんともしんみりと切ない結末を迎える、玲子駆け出し時代のお話しです。

■ 過ぎた正義
川越少年刑務所。当てもないままに休暇や在庁を利用して何度も足を運んだ末、玲子はとうとう「倉田修二(くらたしゅうじ)」と行き会います。元刑事の彼に対して玲子が話したかったこととは。刑法39条がテーマとなっています。

■ 右では殴らない
女子高生 vs 美人刑事。エンコー女子高生「下坂美樹(しもさかみき)」を玲子がマンツーマンで取り調べる、ちょっと異色な感じの作品です。取調べ中の玲子のぶっちゃけた思惑が克明に描かれています。本書で一番好きな作品。

■ シンメトリー
ある女子高生に対して抱える、駅職員の淡い思い。やりきれない結末を迎えながらも、犯人に対する玲子のとぼけたやりとりが、なんとなくほっとするような後味を残してくれます。

■ 左だけ見た場合
超能力のような技をみせるマジシャン「吉原秀一(よしわらしゅういち)」。調査の結果明らかになった事件の手がかりは、玲子が当初から予想していた通りのものだった。彼女の推理の根拠とは一体なんだったのか。玲子の推理の冴えに加え、ちょっと不思議なオチも印象的な作品。

■ 悪しき実
死体発見の通報をしたまま姿をくらました「春川美津代(はるかわみつよ)」。内縁の夫であった被害者の驚愕すべき正体、そして彼女が姿をくらました理由とは。引きを見る限り、続編へのプロローグ的な位置づけにもなっているのでしょうか。

■ 手紙
玲子が本庁捜査一課に引っ張られるきっかけともなった、若かりし日の事件について語られています。先輩の女刑事による身動きしにくい状況のなか、手柄を求める玲子が目をつけて調べ始めたあるものとは。色々な意味で、女性って怖いねというお話し。

ジウ」や「ストロベリーナイト」のような派手な展開を期待する向きには物足りなく感じられるかもしれませんが、私としては全編通したしっとり感がとても良かったです。文庫化を待つつもりだった続巻ですが、手を出してしまおうか迷いますね・・・

評価:★★★★☆

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