クリスティのなかでもあまり良い評判を聞かない本作品。中国人を首領とした、世界をまたにかける悪の大組織との対決なんだそうです。終止苦笑を禁じえない展開ですが、バカミス的なものだと思えば結構楽しめるかもしれません。
Amazonの感想でもチラッと見かけましたが、これが「トミーとタペンス」シリーズであれば、かなりはまるネタではなかったかと思います。あちらはそもそもコミカルさが持ち味ですからね。
もっともドジッこなヘイスティングズはもちろん、自意識過剰でどこかキュートな「ポアロ」おじさんにしたところで、コメディチックな役どころ自体はそれほど似合わないわけでもないような気がします。
本書の評価が低いのは、作品の雰囲気もさることながら、ミステリとしての質そのものにもあるのではないかと思います。筋立てとしては連作短編形式っぽく色々な事件が起きますが、そのそれぞれの事件に切れ味が感じられないのです。
あとがきでこの作品の背景を知ってなるほどという気がしました。詳細は割愛しますが、時期的に不安定なところを無理に出版したものだったようです。売上自体はなかなかだったようですが、当時ネットがあればボロクソだったことでしょう。
作品としての質は上記の通りなのですが、そのわりには割りとすらすら読み進められますので、地雷覚悟で臨むのであれば、さほどのダメージは受けずにすむのではないかと思われます。
作者に対しては失礼な言い草で申し訳ないですけれど、クリスティのワースト候補として歴史的な価値のある作品だとは思います。とはいえ、酷評するために読むというのも趣味の悪いことですし、まずは1章くらい立ち読みしてみるのがよいかもしれません。
このバカバカしさに波長のあう人であれば、結構面白く感じられる気がしないでもないのですが・・・気のせいかもしれません(^^;
評価:★☆☆☆☆
2011年2月7日月曜日
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