2011年2月24日木曜日

天使はモップを持って(近藤史恵) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

ギャルっぽい外見ながら凄腕の掃除人「キリコ」が活躍する連作ミステリ短編集です。コージーっぽい雰囲気ですが、油断していると痛い目を見るかもしれません。



キリコシリーズの第1弾だそうです。最近出た4作目を書店でたまたま見かけて興味が出たので、一作目の本書から入ってみることにしました。

新入社員「梶本大介(かじもとだいすけ)」の視点から、名探偵キリコの活躍が語られています。お察しの通り、二人はいい仲っぽい雰囲気になるのですが、キリコのクールな性格のためか、それほどべたべた感はありません。

大きい会社を一人で掃除してまわるというのは現実的に可能なのかわかりませんが、キリコのプロフェッショナルなスキルや職業意識の高さは、当然ながら本書でもっとも読み応えのあるところといえます。

全8話のどれも面白かったですが、なかでも第1話と最後の7話、8話が良かったですね。能天気な雰囲気で話が進む割に、ちょっとどきりとするような展開が随所に差し込まれるのは、お見事というほかありません。

設定や素のストーリーも面白いのですが、作品によってはちょっと叙述トリックっぽいものもあって、ミステリとしてもなかなかハイレベルです。

読みやすい割にピリリと辛さもきいて、万人向けに楽しんでいただける作品ではないかと思います。ラストがいかにも完結っぽい雰囲気で終わっているのですが、続巻はどのような展開になっているのか楽しみです。

評価:★★★☆☆

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