2011年1月10日月曜日

レイヤード・サマー(上月司) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

れでぃ×ばと!」作者によるタイムトリップSFです。筆者の萌えより話作りの方を評価している私としては、なかなか美味しい作品でした。



最近の筆者の作風からすると、時間SFとは意外な方向性と思われる方もいらっしゃるかもしれません。「カレとカノジョと召喚魔法」からのファンとしては原点に戻ったと言う感じですね。

行き倒れているところを助けた彼女「流堂庵璃(るどうあんり)」は、銀色の長い髪にルビーのような紅い瞳をし、そしてなぜか主人公「黒瀬涼平(くろせりょうへい)」のことを知っている未来人でした。

このほかにもいくつかの「謎」をポンと投げかけて話を引っ張っていくスタイルは、いかにもミステリーチックで私の好みです。幼馴染みの「茜野々子(あかねののこ)」や親友「高円寺忠文(こうえんじただふみ)」に敵役の「ハル」、登場キャラたちもそれぞれ個性が立っていて魅力的です。

時間SFとしての設定は、私があまり考えて読んでいないせいもありますが、少し難しいような気がしました。要するに(1)未来から過去へ来てもそれは平行世界となる→よって過去を改変しても未来は変わらない(2)同じ時間軸に同一人物は存在できない、以上の2点がポイントとなるでしょうか。

ストーリーとしては結構好みの展開だったのですけれど、どうも伏線がまだ色々残されたままでいるようです。ちょっともやもや感が残っているのですが、あとがきを読んだところでは筆者も同様に感じていらっしゃるようですね。



以下、少しネタバレが入るのでご注意。反転してみてください。



階層間移動ですが、庵璃が敢えて説明しなかったので、実は矛盾があります。(あとがきより)

「矛盾」とあるのでちょっと違うかもしれませんが、ラストで涼平が庵璃を引き止めていたら、これから来るはずだった17歳の庵璃はどうなってしまうのでしょうか。同一時間軸には2重に存在することはできないはずです。そうすると未来は変わる?




ネタバレ終了。



本書はかなり苦めのエンディングとなっていますが、そもそも時間を跳んできた過去は平行世界だという設定のため、どう転んでももう一つの世界で起きた悲劇は救われないと言うジレンマを本質的に抱えています。そのあたりをうまくクリアするためにも、上月さんはなんとしても続巻を出したいと思っていることでしょう。

とにかく本巻だけでは評価がとても難しい作品。このままでは後味がラノベにしてはヘビー過ぎる感じなので、私もシリーズ化を激しく希望したいです。ただ、電撃でこのSFっぽい小理屈ストーリーが通用するのかどうか・・・期待しています。

評価:★★☆☆☆

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